第18話 攻略
吾輩が鬼に対して取った行動それは攻撃し続けること。つまりごり押しである。
ひたすらに殴りあう二人の地味な光景。鬼は量より質、吾輩は質より量である。
しかし、決着は案外すぐについた。
重い音と共に鬼が膝をつく。今にも倒れそうだ、吾輩が近づくと鬼が吾輩を睨む。その目はまだ諦めていない戦士の目だ。しかし、鬼は動けるわけもなく近づいた吾輩の拳を綺麗に叩き込むと倒れ体が小さくなった。こうしてこの事件は解決、、、
「全くあのお方から力を分け与えてもらっておきながら負けるだなんてホント使えないわね」
後ろから急に声がし急ぎ振り返るが誰もいない。
「それにしてもあなた何者なんです?」
また後ろから声。
「お前こそ急に現れて何者だ?」
吾輩が振り向くと、そこにはウサギの仮面をつけた女が鬼の近くに立っていた。
「私ですか?私はラビット、加護は『空間転移』です。まぁ、でも今はあの方のおかげで進化していますが」
と丁寧そうな口調で喋っているが何か嫌な感じがする。
「さて、次は貴方の名前を、と言いたいところですが、そろそろ時間なのでこれだけ回収して帰らさせてもらいます」
と鬼もとい元に戻ったハンソンを指を差した。
「そいつをどうする気だ?ちなみに殺す系の答えはなしな」
「じゃあ、答えようがありませんね」
やっぱりやばい奴の部類か、、、
「でも、邪魔しようとは考えないでください。そこから一歩でも動くと貴方を攻撃します」
少し殺気の籠った忠告。しかし、吾輩は歩み出した。流石に抵抗ぐらいはしとかないとメイに怒られるからである。
「はぁ、馬鹿ですね。貴方」
と女が言うと吾輩のお腹が少し重くなった。そして、段々と手足が動かなくなっていく。ついに、吾輩は倒れた。これは、、、
「貴方のお腹の中に私特製の痺れ針を大量に入れさせてもらいました」
やっぱりそうだろうな。
「では、私はこれで」
と女はハンソンの方に向く。そして、一瞬で消えた。
30秒後
「まぁ、とりあえず。謎の女に連れ去られたと報告しよう」
と立ち上がりる。それにしても、一方的な奴だった。
吾輩はお腹を裂き針を取り出したあとメイの待っている所へ向かった。
とある場所
「ほら、起きなさい」
「⁉︎」
ハンソンの意識は水をかけられ覚醒した。辺りを見まわし近くにはウサギのお面を被ったラビット、それに
「よう、ハンソン。見てたけどよ、なんで負けてんだ?」
『鬼神』ローファの姿があった。
「せっかく俺様の力を分け与えてやったってのに。はぁ、お前は本当に期待外れだ」
ハンソンは何も喋らない。いや喋れない。声が出ないのだ。
「もういいや。お前はもう要らねえ。ラビット処理しとけ」
と一方的な会話の進行そして処刑宣告。加護は、、、使えない。ハンソンはもう何も出来ない。
「残念ね」
と言いつつ笑顔のラビット彼女はガラスの板を持ち
「じゃあね」
と言った瞬間ハンソンの意識は途切れた。正確にはハンソンの首が飛んだのだった。
翌日
「ねえねえ、聞いてよアリアンテ君」
いつも通りの朝が来た。あの後、意識不明の生徒の意識は戻りメイの加護も戻った。
つまり一件落着という訳だ。まぁ、ハンソンが行方不明になっているが。
「ちゃんと聞いてるの?」
「あぁ、聞いてる」
明日も明後日もこんな日が続くんだろう。と吾輩は少し笑いながら窓の外を見たのだった。
ガサガサ。ガサゴソ。と低木が揺れる。そこには1人の少女。そして、彼女は
「待っててね。お父さん」
と何処かに向かってまた歩き出したのだった。
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