第13話 事件
メイとある程度に話した後、吾輩は学園長レイジの元に行った。今回はいつも通りの報告だけではなく例の事件について聞く事にした。
「、、、あの事件については私も聞いています。訓練上位生が狙われ気を失っている。目星も大まかにしかついていません。困ったものです」
頭を抱えている。仕事が多いようで大変そうだ。それより、
「少し目星を聞かせてもらっていいか?」
「目星と言っても候補は二つしかありません。一つ目は闇系魔術によるもの、二つ目は加護によるものです」
「二つ目大雑把すぎないか?」
「そう言うものです」
そう言うものか。まぁ、確かに魔法で出来ない事は加護で出来る訳だから間違いではないな、、、うん、深く考えないでおこう。
「ところで、闇魔法ってのは吾輩が知っている人の体に刻印を刻んで発動する呪いの事ではないのか?」
「昔はそれしか種類がありませんでしたが今では人形に呪いを込めることが出来るようになったんです」
「人形?」
「はい。人形に呪いたい相手の顔を思いながら魔法をかけると人形と呪う相手の体を繋げることができます」
さらに、とレイジの言葉は続く
「人形と繋げた状態で生命力や気力を吸い取る魔法を使えば吸い取ることも可能です」
「なるほどな。しかし、遠隔が可能なら吾輩が襲われてもおかしくないはずだが?」
「闇魔法にとっての最大の弱点は相手が自分より圧倒的な実力を持っていたら効果がないことです。なので、その辺が関係しているのかもしれません」
ここまで聞いて吾輩の中で何かが引っかかっていた。
魔法で遠隔から相手の生命力や気力を吸い取ることができること。では何故、わざわざ生徒に暴力を振るう必要があるんだ?圧倒的実力で効果をなくす。なら、4位から15位までが襲われているこの事件、16位以降の魔法使いが4位の奴と実力があまり変わらないと言う事になる。だが、この学園において訓練順位とは身体能力だけではなく応用力や加護•魔法の強さも基準にされている。だから、正直ありえない話な気がする。まぁ、実力というのが何を基準とされているのか分からないが。
レイジにこの考えを伝えなかった。理由はあいつは吾輩が意見を出すと体の負担を考えずに行動するからだ。吾輩は調査の礼だけ伝え学園長室を後にした。
すっかり辺りが暗くなっていた。少し長話が過ぎたかと考えていると少し先に大きな影が見えた。吾輩は足を止め目を凝らす。そこに見えたものは
「鬼?」
巨大な体、立派な角の生えた鬼だった。
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