第11話 その後
「ふー。再生完了」
とても懐かしい感覚だった。人を殺した感覚も、、、。
なんて言うと思ったか?メイ先輩は生きている。正確には吾輩が火薬の量を調節して生かしたのだ。まぁ、火傷は負っているが命に別状はないだろう。
吾輩は倒れているメイ先輩に言う。
「久しぶりに楽しめたよ、メイ先輩」
聞こえていないだろうが吾輩は続ける。
「先輩とはもっと早く出会ってこんな風に遊びたかった」
吾輩の口角が緩む。この時代にしては強く育っていた人。死んではいないが面白い人間だった。
そんな事を考えていると周りの壁が無くなって行った。会場はシーンとしている。皆驚きが隠せないようだった。しかし、そんな中で眼鏡先輩ことナファ先輩がこちらに走ってきた。そして、
「怪我は?」
と聞いてくる吾輩は
「吾輩は無傷だからメイ先輩の方を連れていってくれ」
と伝えた。実際吾輩は服がボロボロなだけで体の傷は再生している。吾輩の言葉を聞いたナファ先輩は少し驚いたが、落ち着き直しメイ先輩の方へ走っていった。そして、
「『フルヒール』」
と唱えた。するとメイ先輩の顔以外の火傷の傷が治っていく。ナファ先輩は息を切らしながらタンカーを呼びメイ先輩を連れて行き吾輩も会場から出て行った。
その翌日の校内新聞は吾輩とメイ先輩の話でいっぱいだった。
そのまた翌日
朝起き吾輩はすぐに制服に着替え寮を出た。教室に着きいつも座っている席に座る。いつもと違うことは誰も吾輩の周りに来なかった事くらいだ。コソコソと吾輩の話をする声が聞こえる。そんな朝だった、、、。
いくつか時間が経ち先生がきた。そして、
「今日から新しい人がこの教室に来る事になりました」
と言う。少し離れたところから転校と言う言葉が聞こえてくるが吾輩は嫌な予感を感じとる。
「じゃあ、入って来てくださーい」
先生がそう言うと入ってきた生徒それは、、、。
「おはよう。皆、今日からよろしくね」
と顔に軽い火傷があるメイ先輩だった。そして、先生から何も説明がないまま空いている席(吾輩の隣)に座った。
休憩時間になり吾輩はメイ先輩に質問攻めを始めた。
「何故ここに?」
「大会の時、意識があまり無い中で君の声がうっすらと聞こえてきたんだ。もっと早い段階で出会っていれば。てね。だから、敗者として願いを叶えに来ちゃったぜ」
確かにそんな感じのことを言ったが、、、。
「その顔の傷は?」
「君に責任とって貰おうと思って残してもらった」
「本当は?」
「ナファ君の魔法のデメリットを考えての事と、僕が初めて負けた証として残してるだけ」
次が最後だ。
「どうやって一年になった?」
「生徒会長としての権限をフル活用して」
職権濫用と言うのではそれ。
「迷惑だったかい?」
吾輩の顔を見て、そう聞いてきた?
「いや、それほど」
吾輩は答える。
「他に願い事でもあったのかい?」
「いや、特に」
と続けての質問に答えると少し嬉しそうに
「そっかー」
と言った。そして、
「あっそうだ」
と手を叩くと。
「せっかく同級生になったしこれからはメイ先輩じゃなくてメイって呼んでね」
とニコニコと言う。凄い、今呼んで欲しそうにこちらを見てくるので吾輩は少し面倒くさがりながら
「はいはい、よろしくな。メイ」
と言った。するとメイ先輩改めメイが
「うん、卒業までよろしくね」
と笑顔で言った。
吾輩は思う。卒業までは無理だなと。その理由として忘れられているだろうが吾輩は死ぬためにこの学園に通っている。だから、、、メイの願いは叶えてやれない。吾輩はそんなことを考えながら、うるさい同級生との生活が始まったのだった。
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