第9話 次の悩み
「もうすぐ武闘大会があるので出場する人を決めます」
朝一に吾輩たちのクラス担任エミー先生が言った。
武闘大会、この学園の最強能力者を決めるものである。
「この学園には最強の生徒会長がいるのに決める必要あるんですか?」
生徒の一人が言った。確かにあの『神の手』より強い魔法や加護なんて吾輩の思いつく物では数える程しかない。
皆が無理だのと色々言っていると
「それは違うよ諸君‼」
と勢いよく扉が開いた。
そこには生徒会長メイ先輩と眼鏡をかけた男おそらく副会長の姿があった。そして、
「今年の武闘大会は僕は出場しないよ」
と言った。えっ?それだけ?と思っていると眼鏡さんから
「メイ生徒会長、何故出場しないのかも言わないと皆さんポカンとされていますよ」
と言葉が入った。
「あぁ、そうだったね。つい興奮しちゃって」
エヘヘと笑うメイ先輩。そして、説明を始めた。
「今回僕は学園長から大会の出場者が減っているから大会に出ないでくれと頼まれたんだ。おかしいよね、僕は相手をボコボコにしただけなのに」
「生徒会長、私情を話さないでください」
「ちぇっ。まぁ、という事で今回僕は出れません」
一つ気になることがある。能力大会に出られないのに楽しそうな生徒会長のことだ。その理由は眼鏡さんの次の言葉でわかった。
「そのかわり、今回は武闘大会の開会式で戦う相手を決めなければ、、、いや本当は生徒会長と戦う相手を本人に伝えにきました」
なんとなくオチが読めた気がする。
「アリアンテ君よろしく頼むよ」
と眼鏡さんが言った。まぁ、そうなるだろうな。
放課後、吾輩は生徒会室に呼ばれた。
そして、吾輩が部屋に入るなり眼鏡さんが
「本当に申し訳ない」
と頭を下げた。そして、
「私が監視してなかったからだ」
と続けた。
「何がだ?」
正直何故、眼鏡さんが謝っているかわからない。吾輩の問いに後ろで座っていたメイ先輩が答えた。
「今回の武闘大会ね。僕が学園長と二人きりで話してる時に開会式で闘う相手を決めていいよー。て聞いてたの。だから僕は颯爽とアリアンテ君の名前を書いて出したの。するとね、この眼鏡君が、、、」
「生徒会長、私の名前は眼鏡ではありません。ナファという名前が、、、」
口を挟んだ眼鏡、、、ナファ先輩に、
「あー、わかったわかった」
少し面倒くさそうに対応した。そして、
「で、まぁ。ナファ君は僕と闘う相手がアリアンテ君では実力不足だ。て言うんだよ」
と言った。すると、
「違います。開会式という場では一年生への責任が重いと言ったのです」
とナファ先輩。
「別にそんな事ないよね?」
とメイ先輩は吾輩に問いかけてくる。
「あぁ、そうだな。別に問題ない。」
そう吾輩が言うとナファ先輩は目を見開き
「では、貴方は開会式の5分、生徒会長とずっと闘えると言うのですか?」
なるほど、ナファ先輩の責任の意味がようやくわかった。つまり、吾輩がメイ先輩に瞬殺されたら見世物としてどうなのか。と言っているんだな。ならば吾輩の答えは簡単。
「余裕だな。なんならメイ先輩を倒すこともできる」
はっきりと言った。吾輩の言葉を聞きナファ先輩は驚き、メイ先輩は笑った。そして、メイ先輩が
「へぇー。僕に勝てるか。何処からそんな自信がくるんだい?」
顔は笑っている。しかし、殺意は本物だ。そんなメイ先輩相手に吾輩は、笑顔でその自信の源を簡単に言った。
「吾輩はメイ先輩の弱点を見つけたからな」
そう答えるとメイ先輩はニヒヒと笑う。そして、
「じゃあ、楽しみにしてるよ。アリアンテ君。そうだ、本当に僕に勝ったら何でも言うこと聞いたげる」
と自信満々に言ってきた。
「それは楽しみにしておく」
吾輩はそう言うと生徒会室を出ていった。部屋を出ていくとナファ先輩が色々話しているのが聞こえたが気にせず吾輩は学園の宿に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます