第3話 本当は、高枕がよいのです




 結論から言うと、2年くらい前から、私は高枕を採用していない。

 それまで、ずっと、高枕だったのを泣く泣く矯正した結果である。


 思わせぶりにならないうちに種を明かせば、私が頚椎症(医師の診断による)になったので、その原因(と思われること)をつぶさねばらなかったからだ。


 頚椎症は、最近、調子悪いなあ→ついに発症、ではなく、ある日突然に発症した。

 左の二の腕が、突然にひどく痛み、整形外科の診断で、頸椎が周辺の神経に触ることによる痛み、であることがわかった。その整形外科の医師は、MRI写真を見ながらこう言った。

 「頸椎のこの部分が、道路で言えば、本線の手前、いわば、路側帯のところまで張り出している」


 特に、無理な姿勢や体勢、無理な運動などが無かったにもかかわらず、このような事態になった原因を、私は“長年の高枕によるもの”と自己診断した。

 

 おそらく、中学生の頃から、普段使っている枕を二つ折りにすることで高くして使用していた。おそらく、仰向けに寝た時に、後頭部に圧が加わると心地良かったのと、地味な理由ではあるが、その寝ながらの体勢で漫画本を読むのにベストポジションだったからだろうと思う。


 枕の中身は、柔らか過ぎでなければ問わない。よって、羽毛のような素材はアウト。それ以外の小豆だろうが、そば殻であろうが、ビーズだろうが、ストローだろうが、何でも良い。ある程度の硬さと、後頭部への圧があれば良いのだ。


 しかし、そのような使い方だと、顎が胸に着くくらいの角度になり、今から考えてみても、よくもまあそんな不健康な体勢で寝ていたかと思う。


 現在は、高反発の薄めの枕の下に低反発のクッションを敷くことでベストポジションになっている(それでも、若干の高枕)。


 パイル地サンドイッチによるミイラ化、そして、高枕、と、これで、寝具の環境は整った。


 残るは、心的環境、である。









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