第13話

 そんな衣宵を、私はもっと痩せろと思って見ていたけれど。同時に元気ではいろ、と思っていた。幸せの形の見えない少年。ここにいるものは、みな、容姿が美しい。それぞれがそれぞれにあどけなさ、凛々しさ、麗しさ、格好良さを滲ませたかんばせをしている。

 私は北海道出身だった。アリアと同じ音の祖母の下育った。

「幸せになって欲しかった」

祖母が言う。祖母のおかげでここに入れた。

 衣宵は自分を痛めつけるようでいて、食事を抜く。また食事を取らないことが自然なことなのだ。

 何も考えず、ただ、給食皿を見つめて一時間。

 まだ倒れるような時間じゃない。

(限界はまだだ)

ただ、あれから。

 衣宵がいる日は。なんとあの、庭にある桜の木の幽霊マリアが現れないのである。

「絶対に、そう、絶対に、」

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