第7話

 一度去った看護師が近づいてくる。

ちがう、そんな。ひどいことしたけど酷いことはしていない!

 そこで思わぬ助け舟が来る。

「おい、ユキユ!今日のカレーうどん、髪についちゃったんじゃねえの?」という、おかしそうに笑うイタズラ好きな、だれだ。しかし、これは助け舟ではない。

「シュシュで結んだから平気。」

少年そっちのけでイタズラ好きへ言葉を返す。

看護師もイタズラ好きを嗜める。

「オレだったら、そんな白髪、染めるかメッシュで際立たせるね、あ、染めてもまた根本から白くなるか!」

プリンじゃなくてコーヒーゼリーだな!!

そこで、私は、私達は!

相手へ影を伸ばして口を塞ぎ。

フラフラした手から炎を出して相手の髪を焼き。


看護師が、少年が、見ていた患者たちが。

「!!!!!」


私達は1秒遅れて、(なにこれ?!)と。


そこで、この地球上で初めて、中二病の幻覚か、幻想が発現した。

 キーになるのは、特徴的な少年。黒いまなこは大き過ぎて、しかし成長すれば相手を写して翻弄する。鼻は柔らかく、しかし上を向き、いい具合に鼻腔が見えず、しかしのっぺりとした印象はない。凹凸のある形。筋が通っている。頬は色を失っているが、男性ものの化粧を施せば紅顔は絶対。唇は、その不健康な印象を裏切るようにふっくらとしているが、今はかさつきが目立つ。

要するに。


「薄幸の美少年!!!!!」


誰かが叫ぶ。


 

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