第5話

午後2時なると、少年はやってきた。

あの人同じ、白いシャツに、黒いズボン。足元は病棟のサンダル。

他に服はないのか。それとも用意してもらえないのか。

みんな、この少年がまだ保護されただけなのか、中二病なのか知らない。

中二病は、一生治らない。一生をかけて付き合っていく病気だ。みんな好きな能力を語るが、「外部」、となればふつうに仲良くして、外の世界の、ここに入るまでの最先端を聞くだけだ。

 カセットテープってまだあるのかな。

 あ、時代が違う、CDもあったから、今は何で音楽を聴くんだ。ミュージック。本。それだけは、こちらでもリクエストに応えて揃えてくれる。まあ、近代の流行りを知らなければリクエストしようもないが。食堂のアナログと呼ばれている黒いテレビが白い、少年を写している。画面は消えている。反射する姿は、幽霊のようだ。

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