第16話 エンディング

 ほんの少しの甘い香りに薄く目を開けた。


 体内時計では今が朝だと認識しているはずなのに目の前は真っ暗だった。

 不意に昨日の出来事を思い出して少しにやけてしまった。


 体を起こそうとする。


 だがそれは両手に繋がれた金属製の拘束具によって阻まれる。

 ちょうど両手が頭の上に来るように拘束されている。


 思わず私は拘束から逃れようと腕に力を入れた。


 金属同士がぶつかるカチャカチャという音、布と布とが擦れる音とがこの空間に響くだけであった。


 手首にはめられているそれは、外側が金属製で内側が柔らかい革のような物で、できており手首が痛くなるなどはなかった。


「続いてのニュースです」

「昨晩○○県にある住宅が全焼し、焼け跡から性別不明の1名の遺体が見つかりました。警察は放火殺人を視野に入れて捜査を続けています。また、重要参考人である高嶺咲……」


 誰かの笑い声が聞こえた。

 目隠し越しにほんの少しだけ甘い香りがした。

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