一章 ハーレムが作れそうな件について
1話 行為の最中、すみません!
はぁ、この肌を刺す冷たい風……悪くない。
って! そんな事を考えている余裕は無い! どうすればいいんだ? まさか吸血鬼だから空を飛べるとかは……きっと空も飛べるはず! さぁ! 今こそフライアウェイ!
いや、羽を出そうとしても何も起こらないから無いですね! だったら、空を泳ぐとかならもしかして……うーん! 無理! だったら、平泳ぎが駄目ならクロールだ!
「いや、無理に決まってんだろッッッ!」
どうしろと? まさか転生してすぐに死ぬんですか僕? 吸血鬼すぐ死ぬ、ならぬ、吸血鬼すぐ死んだですか? 嫌だ! 死にたくないんですけど!?
あ……家の屋根が近い……。
ごめんね、ハーレム予定候補の嫁達よ。このまま僕は死ぬんだ。君達を嫁にしてあげられなくて本当にごめーー。
「ぶふぉ……あれ、生きてる……」
まさかこれはアレか。
藁みたいな屋根がクッションになってくれたおかげで怪我なく落ちられたとか。いやいや、それにしてもおかしな話だけどね。他にあったとしたらステータスのおかげで耐えれたとかもあるか。
「ブルゥ!」
「なんだい、僕は今、生を実感しているんだ。うるさい豚は黙って」
豚……あれ、豚の鳴き声ですよね。
まさかとは思うけど……ありゃあ、ものすごい数の二足歩行の豚さんがおりましたわ。これって俗に言うピンチだよね。ここにいる豚ってよく聞くオークだろうし……。
「あ、ごめんなさい。なんか邪魔をしたくて来たわけではなくて」
「ブルゥォ!」
あ……これ死にましたわ……。
再度、ごめんよ。僕のハーレム予定候補の嫁達よ。君達を迎え入れる事ができなく……あれ、死んでない。ってか、逆にオークが振ってきた斧が破壊されていないか。
まさか、僕に当てたせいなのか。
だとしたら……ごめんよ、未来のハーレム予定候補の嫁達よ。カッコ悪い姿を見せてしまったが今からカッコイイ姿を見せてあげるよ。それならとりあえず……。
「必殺、マジ殴り!」
大好きなアニメキャラの必殺技だ。
ただ力任せに敵をぶん殴るだけ……それでもオークの顔面がぶっ飛んだところを見るに……ニヤけが止まりませんなぁ。これはもしかしたらやれるんじゃないですか、僕!
【レベルが上がりました】
ほら、頭の中のアナウンサーさんも言っているんだ。頑張れ、僕! きっとやればできる子、YDKだよ! 目の前の敵を殲滅してやるんだ! 行くぜ!
「
ほうほうほう! いける! いけますぞ!
喜べ! お前達は僕の養分となるのだ! さっさとオークを殲滅してステータスを確認する! 君達の事を何と言うか分かるかい! おじゃま虫って言うんだよ!
「……ふぅ、倒し切ったな」
一先ず、目の前にいたオークは殲滅した。
後は……ステータスの確認かな。その前に……。
「お前も敵か?」
なぜかキラキラした目で見てくるオークがいた。それも僕が最初に落ちた家にいたオークだ。敵が多過ぎて気が付いていなかったけど僕の後ろにいたみたいだね。
でもさ、何で……って思ったけど僕が落ちた場所で潰れて死んでいるオークがいた。これってもしかしてだけどさ……このオークってメスのオークか何かか。襲われているところを運良く、運悪くかもしれないけど僕が落ちてきて助かったみたいな。
まぁ、ほぼほぼ正解だと思う。
だって、僕に踏み潰されたオークの大きなアレも潰れていたし。大きくなった状態で潰されて死んだから小さくなっていないとか……うん、本当に性欲って人を、いや、生き物を狂わせるんだね。
って事は、おじゃま虫は僕だったのか。
えーと、なんかごめんね。もしかしたら童貞を捨てたくて急いていた可能性もあるからさ。……だとしても、女性の了承無しに襲うのはダメですよ。やっぱり双方の合意があってこそ……なんか虚しくなってきたな。
そういう時に強引さが無いから僕って……。
「アリガト、タスカッタ」
「ふーん、話せるんだ」
まさかとは思うけど……これが第一のハーレム候補ですか。いやいや、女に飢えていたとはいえ、さすがに豚に発情はしませんよ。これがね、美しい女性ならまだ良かったけどさ。
確かに胸は大きいですよ。
僕好みの高身長でもありますよ。
だけど、顔が豚なんですよ。えー、最後の部分が一番、重要です。蒼攻略検定第一級のテストによく出るので覚えてくださいね。蒼は可愛い女の子じゃないと興奮しない、と。
「まぁ、よく分からないけど自由に生きなよ。これで君は自由だ!」
「ジユウ……?」
「ああ、君の好きな事ができるって事さ!」
とりあえずカッコ付けて見たけど。
言葉が通じるってだけで知能は高くないんだね。魔物が相手だからっていうのはあるけどさ。いや、逆かな。魔物相手なのに言葉が通じる時点で普通では無いとかも有り得る。
「ナラ、ツイテク」
「はぁ、誰に」
「アナタニ」
いや、別に着いてこなくてもいいんだけど。
それこそさ、僕って吸血鬼だからね。こうやって魔物を仲間にするのはありかもしれないけど……どうせ、仲間にするのなら美女がいい。女の子であっても身長が高くて太っていて豚顔はあまり好みでは無いかな。そう、せめて顔と腹を……。
【オーク(変異種)の使役に成功しました】
えっと……あれ、僕の意思関係なしですか。
こんなにキラキラした目をして……そうなんですね。いや、来たいというのであれば別に勝手に着いてくればいいとは思うけどさ。でも、ただのオークはなぁ……。これが赤とか青とか黄色とか白とか紫とか……そういう色の種類がある存在なら別に良かったけど。いや、だとしても別に要らないな!
待てよ……?
「分かった! 着いて来い!」
「イイノ?」
「いい! 単純に君を鬼人にすればいいだけだからね!」
鬼というからにはゴブリンとかが進化した姿だろう。それならオークとか、オーガとかが鬼人になってもおかしくは無い。仮に鬼人じゃないとしても人型に進化させればいいだけだから問題は無いね。
これで可愛く無かったら……その時はその時に考えよう。進化させた時点でかなり強くなるだろうし僕にとっても悪くは無い話だ。ゲーム脳で考えたらってだけなんだけど……まぁ、仲間はいた方がいいよね。
「ナマエ」
「名前?」
「ウン、ナマエホシイ」
なるほど、認めたからには名付けろと。
別にいいけどさ……名付けってデメリット無いのかな。ラノベとかだと魔素を使うだとか言われていたけど……少しだけ怖くはあるんだよね。ただ仲間にした以上、名前を付けないのはキツい事が多いか。
名前……何も思い付かないなぁ。
ペットとかを飼った事も無いから本当に何も思い付かない。僕の名前から取るとか、後は願いを込めて付けるとかなのかな。鬼人になって欲しいからオーニーとか? ニーオーとかもあるな!
いやいや、相手は曲がりなりにも女の子。
可愛らしい感じがあって強そうな感じもあるとなると……羅刹とかは無いな。牛頭鬼とか馬頭鬼も無しとなると……夜叉あたりがいいかな。夜叉だけでカッコイイから可愛らしさを付けるとすると……。
「夜叉丸、とかどう」
「ヤシャマル……ウン、イイ」
「喜んでくれて何よりだよ」
名付けをしてみたけど……特に変化は無い。
となると、そこら辺の制約は無いのかな。まぁ、最初から夜叉丸は使役していたし、そこら辺も関係していそうだけど……考えるだけ無駄か。それより先に……って、あれ?
「なんか可愛くなってない?」
「……ミエナイカラワカラナイ」
「そっか……まぁ、気のせいだろ」
若干、人よりの顔付きになって痩せた気がするけど……仮に本当だったら嬉しいだけだし別にいいや。それよりも今は異世界に来て最初に確認したい事だよ。
吸血鬼として転生したんだ。
これだけの強さもあるってなると期待は高まるよね。さあ、現れてくれ! ステータス!
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名前 サトウ アオイ
種族 吸血鬼(真祖)
年齢 22歳
レベル 14
HP 1560/1560(S)
MP 3550/3550(S)
物攻 1060(S)
物防 1060(S)
魔攻 1060(S)
魔防 1060(S)
速度 1060(S)
幸運 100(S)
固有スキル
・ナビゲーション
・血液操作
・熟練度上昇
・経験値上昇
・魔眼(魅了、麻痺、鑑定)
スキル
・隠蔽LV1
・気配遮断LV1
魔法
・闇LV1
・空間LV1
____________________
Wow……これは想像以上カモ……。
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