言葉遊びをしながら小説を書きたい人とその友が会話するだけの話

碧空

短編

「前から一度だけ、我ながら能が不足し欠如しているとわかっていても、言葉遊びをする話を書いてみたかったんだ。」



「お前…一浪してもその充足した脳を介して解して無いだろう。色んな意味でもっと学べ。そもそも割れながら欠けているなら掛けることも難しい。」



「掻けることも可能だろう。全く、そんな事を言って私を陥れないでくれたまえ。ぜひ執筆活動に協力してもらいたいのだから」



「はっ、失筆活動の間違いじゃないか?全く、完全に眼前で筆が落とし入れられてるじゃあないか。そこのゴミ箱の中に。」

「そして残念ながら、俺の頭に力を合わせ協力すると言う文字はない。力を4つ提示されてもカツ丼を提示されても私の手は貸せないな」



「筆のを指摘してくれたのは有り難いが、カツ丼は君の欲が見えているし、手は力がなくとも十分ある。私は君の口に期待をしているのだから。」



「そうか?俺がよく鳴き者だからこそ、ここまでお互い語っているともいえるだろう。ただ残念ながら俺という者に口は無い。平面で文字に起こされるしか才のない気体のようなものさ。」



「それを言うなら差し出す手も鼻から無いだろう。平然と有りもしないものをさもあるかの様に騙ったのはそちらが先だ。」



「貸せないとは言ったが貸すとは言ってない。有りもしないものをを有るだなんて初めから語っていない。勝手に騙り騙られたのはお前の方だ。因みに俺は鼻どころか全身刺し出せない。」



「誰がそんな事をしろといったんだ。刺すな。というか君の体は刺せないだろう。」



「ふむ、如何どうだろうか、言葉の受け取り方次第では刺せるとも言えるだろう。何せ俺の体は透き通っているからな。好きに胴を貫き面を抜く事も出来よう」



「あまりその絵面を想像したくないから勘弁してくれないか。いくら大衆が平面世界でしか君の存在を認知できないからと言って、目の前にいる私は君をれっきとした友だと認めているのだからね。」



「おや、遊びもなくその様に簡便に思いを伝えるなんて珍しい。日は暮れたというのに照れてしまうよ。」



「まぁ…稀には割れ欠けた花瓶に水を掛けてもいいだろう。」



「ふむ、それもそうか。掻けてやるのも悪くないな。さてのぼりもないくだらない歓談はここで辞め、いいかげん今後の算段を早めにつけなされ。」



「はぁ、わかったよ。」


おわり


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