第87話 閑話 自衛隊、斯く戦えり。

この回は蛇足的妄想なので飛ばしてもらっても全く問題ありません。

何らかの問題が発生した場合、この話は自動的に消滅します。


087 『閑話 自衛隊、斯く戦えり。』


一斉に戦車のディーゼルエンジンが唸る。

自走砲が155mm榴弾を発射する。

一体誰が命令したのだろうか。

それとも、永田の死がトリガーだったのか。


戦闘ヘリが再び現れる。

ヘリからロケット砲が次々と放たれる。

火山性の黒土が爆発し、煙が立ち上り、火柱が吹き上がる。

榴弾が空中でさく裂し、弾子がばらまかれる。


本物の戦争だった。

彼らも、初めて人間に向けてそれらの武器を使っているのだ。

影野は、素早く『絶対防衛圏』を構築し、後退する。

ユウコは人型にもどり、一緒に後退する。


恐らく、彼女をここで突き飛ばしても、平気な顔で戻ってくるに違いない。

しかし、その場違いな考えは、漏れているらしく。

赤く輝くユーコの目が影野を捕らえている。もはや、逃れるすべはない。


「ユーコ、少し変わってくれ」それは、『絶対防衛圏』の発動者のことである。

「はい、あなた」魔獣のユーコには、そのような魔術はないが、同様の防御が可能なのだ。

流石、一流の魔獣。しかも決定的に高性能だ。


そして、影野は『超レールガン』の起動を開始する。

富士のマグマエネルギーまで『大地の指輪』の力で取り込んでいく、スーパーレールガンである。

徹甲弾が、眼の前をはじかれて飛んでいく。

対戦車ミサイルが防衛圏に辺り爆発するが、眼の前が爆炎が弾けるが何の影響もない。


「起動成功、イマ」瞬間、防御が切れる。

影野は大ジャンプを行う。高度を取り角度を取らねば、周囲一帯に一筋の大地溝帯を作ることになりかねない。


上空高く飛び上がった影野は、組みあがった魔術を解放する。

『超レールガン』

戦車部隊の中心にそれを発射する。

マッハ10に加速された砲弾が火の玉と化して直進する。

爆発が一瞬にして戦車を砕き、周囲にいた別の戦車も捲き上げる。

巨大なクレーターを作り上げる砲撃。クレーター内のすべてが砕け散る。

全ての生物を衝撃波と熱エネルギーで死亡させる死の嵐。


第2撃が榴弾砲部隊に降り注ぐ。

大爆発が起こる。

あまりの熱エネルギーで、富士の黒土がガラス化するほどだった。


そして、もう一つ。異形の巨人が現れる。

アーマードトルーパー、所謂ATというロボット兵器。異世界では、機動魔導甲冑と呼ばれるそれであった。数日前から、演習場に埋めて隠されていたものである。

モビルトレーシング機能と神経一体化回路により、PS(パーフェクトソルジャー)の動きや神経反射を正確、即時に反映させることができる。ただし、装甲板は非常に薄いという消耗兵器である。


3機のそれは、隊伍を組みながら黒土の上をすべるように走りながらスラロームをする。

30mm機関砲に匹敵する突撃ライフルで戦闘ヘリを撃墜していく。


「ギル〇メスのスコープ〇ックか!」知っている隊員がいたらそう叫んだであろうが、皆若かった。その3機の肩の片側は、赤く塗装されていた。知っている人間がいたら「レッドショ〇ダー!」

といったかもしれない。


10式戦車や90式戦車の旋回砲塔では、彼らを捕らえることはできない。

そもそも、撃ったところで、パーフェクトソルジャーな彼らは躱してしまう。

ズガガガ、ズガガガと次々と撃破していく。



こうして、赤い悪魔たちにより、自衛隊の第一師団の精鋭たちは、散華したのである。


このように、宇宙には、未知の存在が数多存在するのである。

努々、油断せぬようにしなければならないのだ。


特に異世界から門などが現れた場合は注意を要するのだ。


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