第25話 第2次異世界進出
025 第2次異世界進出
新潟県某市。
巨大電力を使用する機器が並べられ、中央には、巨大な魔法陣が描かれている。
電力が魔力に変換されそれに流し込まれると、魔術が発動する仕組みである。
今回も、この発電所を使用することになったのだが、前回よりもはるかに少ないエネルギーで済むはずである。
前回は、電力のショートが起こり、辺りが停電してしまうというトラブルも発生したのだという。その甲斐あって、俺は焼け死にかかったのだ。
超大電力魔力変換装置(マギトランサー)が、振動音を出している。
ブーンという機械独特の振動音である。
大電力を魔力に変換して、術式を稼働させるのである。
「管制からマーク7へ、準備は完了したか?」
「こちら棺桶(コフィン)、準備完了」
「マーク7、カウントダウンに移行する」
「10、9、8、」
「3,2、1」
「0」
「ダイブ!」
冷酷な死刑執行のカウントダウンが終わる。
大電力が魔力に変換され流し込まれていく。
魔法陣が、青い光を放つ。
その中心部に置かれた、棺桶も青く光る。
棺桶は少し、浮かび激しく発光し、消えた。
「作戦中止、作戦中止!」
その時、管制室に声が響きわたる。
「何事だ」
「司令部から、作戦中止命令が出ました」
「何を言っているのか、すでに、マーク7はダイブした」
作戦中止命令は、参事官から発せられていた。
某県の米軍基地から大量の武器弾薬が盗まれた事件の情報は公にはされなかったが、政府の情報部門には伝えられていた。
犯人と思しき影のような者が映っている映像も添えられていた。
「国内でテロ活動の可能性あり」と。
参事官は、その情報に特に興味はなかったが、その詳細を読んでいくと、思い当たる人間がいることに気づくことになる。
犯人は、人間外の運動能力で、数mのフェンスを飛び超えて敷地内に侵入したらしい。
そして、たった一人の犯人が、数十トンの物資を持ち去ったというのだ。ここでも過少申告されている。
数mのフェンスならば、俺でも飛び超えられるがな。
しかし、数十トンの武器弾薬を持ち去る人間なんかいるはずがない。
まあ、俺のように、収納ボックスを持っていれば可能だがな。
???
え、俺!そんな馬鹿なことが!そして仲間を疑う。
だが、その当日、自分たちが、都内で会議をおこなっていたのである。
「準備に数日間いただきたい」みたいなことを言っていた男がいたことに気づく。
「まさか!」
「影野!影野はどこだ!」
「ダイブの為に、某県に向かっています」
「拘束せよ!」
「え?」
自衛隊からの武器供与を受けているのに、それに飽き足らず何をやっているのか!
今度は、司法取引どころでは、贖うことはできないぞ!
「容疑者はすでに、ダイブしていました」
それから数分後に答えが返ってくる。
「影野3佐は何をやりたいのか、わからんが、国家反逆の意図ありと見做す」
室内の温度が一機に下がる。
「処理部隊を送れ、抹殺せよ」
参事官は、冷酷に言い放った。
「しかし、彼は、魔法使いでしょう」
「魔法使い程度なら問題ない。遠距離からの狙撃で抹殺できる。」
こうして、影野抹殺の為に、特殊作戦群(SOG)の部隊が急遽送られることになる。
某県の発電所に、新たな棺桶が準備される。
そして、燃焼しつくした触媒のうえに触媒が追加で流し込まれる。
影野を抹殺するための兵士たちが棺桶に入れられていく。
その数6。
彼らは、日本国内で屈指の特殊戦闘のプロである。
但し、残念ながらこの平和ボケの日本では、本当の戦闘を経験するはずもなかった。
だが、隊員の中には、これで本当の経験を積めると考えていた者もいたのは、間違いないことであった。
参事官(1佐)は、こういった。
「相手は、異世界の魔術士である。遠距離からヒットせよ。正面戦闘は決してするな」
「まあ、君らも異世界転移のギフトで、魔術の素質を得ることができるかもしれんがな」
こうして、当初のアブダクティッドの奪回をそっちのけで、異世界を舞台に戦闘が始まろうとしていた。
「ダイブ!」
魔法陣に再び青い光がともり、兵士たちを異世界へと送り出していく。
それは、地獄の炎のように青く揺らめく
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