第14話 交戦規程

014 交戦規程


交戦規定(こうせんきてい、Rules of Engagement、以下ROEと表記)とは、軍隊がいつ、どこで、いかなる相手に、どのような武器を使用するかを定めた基準のこと。 このような規定は時代や各組織ごとに大きく異なるものの、多くの組織が用いており、詳細にわたって定められているのが一般的である。通常、敵に手の内を見せるのを防ぐため、公表されることは少ない。(Wikipediaより)


陸上・航空自衛隊が派遣されたイラクでの復興支援活動において、攻撃を加えられる可能性があった陸上自衛隊は幸い一人の被害も出すことなく撤収することができたが、本活動におけるROEでは自衛官に対してテロ・攻撃行為を行おうとするものに対する対処は次のようになっていた。


1口頭による警告

2銃口を向けての威嚇

3警告射撃

4危害射撃

(Wikipediaより)


パクるな?そうだ、俺は自衛隊員なので、以上のような規則による縛りが存在する。


「やめろ!これ以上の攻撃はこちらが反撃を開始する口実になるということだぞ」

これが1である。

そんな言葉で止まるような馬鹿はいない。

兵達は、抜剣する。

「助けてくれ!」

俺は、ガバメントを抜く。

「これ以上近づくと、撃つ」

これが2である。

勿論、これがなんなのか知らない兵士たちは止まることはない。

銃口を天井に向けて、撃つ。

天井の石造りが弾ける。

発砲音で兵士たちは、止まる。おそらく、火薬の爆発音は初聞きということになるはず。


「敵はたった一人!討ち取れ!」宰相が命令する。

「待ってくれ!アーセナル卿」

兵士たちの剣による突きが襲う。

俺は、それをセルティクス侯爵で避ける。

兵士達の剣はセルティクス侯爵を突き刺す。

「殺せ!」容赦ないアーセナル卿の命令。


バンバンバン。3人がもんどり打って倒れる。

バンバンバン。又3人が倒れる。

辺りは悲鳴と怒号が飛び交う。

死体からは真っ赤な血が流れ出て床を染める。


血の匂いと火薬の匂いで噎せそうだ。

だが、弾倉には残り一発。

7発しか入らないのだ。

威力は間違いなくあるのだがな。

後ろの兵士が勇敢に切りかかる。

振り向きざまに眉間を撃ち抜く。

そしてその兵士の剣を奪い取る。


「な!」

「掛かれ何をしているのだ!」

ここからは乱戦の始まりだ。

魔法使いは剣が苦手?

そうではない、俺は得意なのだから。

次々と剣が襲い来る、受けて流して、打ち込む。

次々と斬殺死体ができあがる。鎧を着た兵士といえども、完全金属鎧ではない。

まあ、そうだとしても、大剣で殴りつけて殺すがな。


宰相が部屋を出ようとするのを目の端でとらえる。

剣を投的する。

目の前を剣が通り過ぎる。

宰相も腰を抜かす。

勿論、狙い通りだ、殺すと交渉相手がいなくなる。

死者の剣を足で蹴り上げて手にする。

クルクルと回り、手に落ちてくるのだ。


明らかに手練れである。兵士たちはそのやりようを見て、後ろずさりする。


「さあ、あと何人死にたい、こちらはできるだけ攻撃を避けるように規定ではなっていたんだが仕方ないよな、防衛行動だからな」


「宰相殿、あんたの代理はいるのか?ここで死んでも大丈夫だな?」

剣の投的は、間違いなく彼に当たるだろう。


「待て!話せばわかる」話してわからないから辺り一面に死体が量産されているのだが。

どこの世界でもわが身が一番かわいいのだ、それが物の道理だ。死んでいった者たちは納得しないだろうが。



・・・・・


「私、日本国内閣府情報調査室特殊誘拐対策班(SACT)の班長の影野真央(まさひろ)と申します。また、日本国陸上自衛隊3佐および日本国外務省在外公館警備対策官も兼務しております。

簡単に申しますとワンマンアーミーで外交交渉まで行う、スーパー公務員といったところです。

誘拐数31人に対して、3億1千万円の賠償、並びに死亡者2人に対して賠償金1人当たり1億円で2億円。今回の事件処理費用を諸経費10億円で合計15億1千万円が要求金額です。

すべて金貨あるいは金塊でいただきたい。ちなみに金1グラムで、5000円とさせていただきます。金塊302Kgとなります。」


「そんな馬鹿なことがあるか」アーセナル卿は怒鳴る。


「日本国民を誘拐しておいて、馬鹿なこととはどういう意味でしょうか?金302Kgならあるでしょう。国家なのですから、そんなに高くはないと思いますが」


「勇者は返すわけにはいかん」

「自分の意思で残る者は、私の任務外ですので、ただしあの一人は必ず連れて帰ります。」

「その兵士はいらん、連れて帰ればよい」


「とりあえず、彼らとの面接を希望します。意思確認が必要なので」


こうして、やっと交渉が始まることとなったのである。

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