第2話

「君の、君だけの明晰夢。」

なんてすてきなキャッチコピーだろう。

学校帰り、いつもと同じ道、いつもとちがううはり紙を見つけた。

のれんをくぐると、だれかよくわからない人がさけんだ。


「イラッシャイマセーッ!!」


言葉がへたくそだった。

よくわからなくなるようによくわからない服を着ているような風に見えた。


「あの、ここの店って」


「オキャクサン、マタ来テクレタンスカ?!アリガタイコッテ!!」


「えっと、あの」


「エンチョウシマスカ?」


なんか、このひと、というかここはおかしい。

なんだか夢みたいにはっきりしているのに現実みたいじゃないし。

この人の言葉もおかしいし、なんだか電波が悪いときみたいにかみ合わないしノイズがかってぼんやり聞こえる。


「シッカシ、オキャクサンモ不思議ナオ人ダ!!夢ヲミタイクセシテ、コンナ非現実サノカケラモナイツッマンナイ夢ヲミテ!!ヨッポド現実ガヒサンナンデショウネ!!カワイソウニ!!」


よくわからないけれどなんだかばかにされているような気がする。


「はい、えんちょうします」


「デハ、料金ハ勝手ニモラッテオキマスネッ、イイ夢ヲ!!」


あれ、今、なんて答えたんだったっけ。あれ?答えたってだれに?

考えているうちよくわからなくなってきて、気が付いたら家のドアの前に立っていた。うん、ちゃんと戸じまりできてる、えらいえらい。

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