第9話 XP

「まだまだ教えなくてはならないことはあるが、実戦を経験したほうが力がつくだろう」


 俺らはダンジョン前で、教官の説明を受けている。


 内容をまとめると


 ダンジョンとは洞窟のようなもので、中には魔物と呼ばれるモンスターがいる


 地下深くにいけばいくほど魔物は強くなる、


 82階がいまの最高攻略階層である


 今日はそこまで深いとこに行くつもりもないし、何かあったら教官たち四大武官がいるので問題はない。


 といったもので、心配はなさそうだ、

 

 ついでにほかの四大武官を『鑑定』しておこう。


 ――――――――――


「はぁ、やっと倒せた」


 俺らはまずダンジョン第一階層にて、スライムと戦っていた。

 

 スライムはステータスが低いのだが、俺のステータスも低いため、

 皆が一撃でとしている中、俺は短剣を三回振って、やっと倒せた。

 

 もう一体倒しに行こうとしたとき、体のの感覚に違和感を感じた


 俺は一度立ち止まり『ステータスオープン』と念じてみた


『 浪打 蒼  交渉人  

 Lv.2 次のレベルまで 0/550XP  


 HP 104/104  MP 52/52


 PW 83  DF 73          』


 あ、レベル上がってる、、


 ステータスの伸び幅が思ってたより小さく少し落胆したのだが

 それよりも一つの疑問が頭に浮かんだ


 他の奴らはまだレベルが上がっていないのに、なんで俺のレベルが上がったんだ?


 俺は一体倒しただけでレベルが上がったのに、なぜ何体か倒しているあいつらのレベルが上がっていないんだ?


 そう思ってたところで、3体ぐらい倒したショウが

「レベル上がった!」

 と叫んでいた。


 そのあとは皆も大体3体ほど倒したところでレベルアップの報告があった。


 俺はもっとわからなくなり、ショウのほうに歩み寄った


「なぁ、俺なんか一体倒しただけでレベル上がったんだけど。」


「え?なんか少なくね?」

 ショウもみんなの状況を見ていたからか、俺のレベルアップが異常だとはっきりと聞いてきてくれた。


 教官に同じ魔物から得れるXPは変わらないと言っていたのになぜこんなことが起きるのだろうか。


 気になって仕方なかったが、折角のレベル上げの機会を失うのも良くないので、

 とりあえずレベル上げに専念した。


 ——————————————


 あぁ、身体がいてぇ

 俺等が屋敷に戻ってきたのは空が闇に染まってからだった。


 いつもより食事が美味しく感じたのはおれだけじゃ無いはずだ。



「みんな、今日はお疲れ様」

 彩が俺のベットに腰掛けながら言う


「あぁ、まじで疲れた、、、」


「うん」


「同感」

 それにショウと影山、俺が応える


「そういえば、お前らレベルどれぐらいになったの?」

 俺は保留していた疑問を持ち出した


「えーと、俺は12」


「僕は、9かな」


「私は11だが、、アオの方はどうなんだ?」


「あのー、それが、、」

 俺は自分が異常であることがはっきりとし言いづらくなった。


「もったいぶらずに教えろよ~」

 ショウが少し茶化すように急かしてきた。


 俺も言わなきゃ始まらないため


「それが、、Lv.18なんだけど、、、」


「「「えっっ!?」」」


 三人が声を合わせて驚く、まぁ驚くのも無理はない


 なぜなら、俺が倒した魔物の数は最少なのにレベルは最高なのだ。


 俺は一度、『???』のスキルかと疑ったが、『???』の表記が変わっていないため違うだろう。


 四人で首を傾げる、俺はステータスを開いて再度見てみる。


『 浪打 蒼  交渉人

  Lv.18  次のレベルまでのXP  320/1400


 HP 172/172  MP 86/86

 PW 138  DF 120       』



 ······ん?そういえば『次のレベルまでのXP』って他人の知らなくね?


 俺はポッケからステータスプレートを取り出してみる。

 ついでにショウに『鑑定』をしてみた


 結果、どちらにも記載されていなかったので、多分原因はこれだろう。


「なぁ、ちょっとステータスの方から『次のレベルまでのXP』ってところの数字教えてくれないか?」


「わかった······俺は570/2700」


「私は140/2600だ」


「僕は40/2400だね」


 やっぱりそうか、俺だけ『次のレベルまでのXP』が低いのか、

 まぁ、ステータスは全然追いつけてないわけだが、、、


「多分、原因これだろ、、」


 俺は判明した原因を皆に伝える。


 皆納得したのか話はほかのことに変わっていった


 ――――――――――――


「そういえば4大武官のステータスはどんな感じだった?」


 ショウがずっと気になっていたと言う感じの声で聞いてきた


「あぁ、全員今のお前よりは下だな。だけど、実戦経験に差があるから、絶対に一筋縄ではいかないぞ。」


 鑑定した結果は4大武官は魔法系と物理系が2対2であった。


「そうか、やっぱりもっと頑張らなきゃいけないな」

 ショウは元気な声でそう意思表明した


 その時のショウの表情は太陽のように輝いて見えたが、その分目の下に陰も見えた。


「ショウ、お前今日はもう休め」

 その顔を見た俺は、あえて厳しい口調で言った。


「でも、時間が足りないだろ」

 ショウはつかれた表情を隠して言葉を返す


「俺らで十分だ、だからしっかり休んでくれ」


 俺も引き下がる気はない、

 このまま行くとクーデターどころじゃなくなるし、何よりショウが危険だ。


「お前がそこまで言うならわかったよ、、、すまんな、、、」


 ショウは俺が引き下がらないと分かったのか、そう言って部屋を出た。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る