第7話 あんなこと(2)

「こういう感じかな」


「まぁ、そうだな」


「え?ほんとにするんですか?」


 僕は彼らがどうするつもりか聞いて、ビビっていた、


「でも、これ以外なくね?」


「そうかもしれませんけど、、」


「案外、何とかなるもんだと思うしやってみようぜ」


 無責任に聞こえるが、この人たちについていけば何とかなると思ってしまう。


「それに、これはお前のことだからな」


 この言葉で決意をきめた


「じゃあ、やります!」

 

 ―――――――――


「お前、よくも俺らのこと置いていきやがってよ」


「そうだぞ、しっかり慰謝料と飯代払ってもらおうか」


 僕は彼らに言われた通り、店の前に戻ると、そこにはあいつらがいた。


 そして、明らかに切れている様子でこっちに怒鳴りながら近づいてくる。


「ぼ、僕はお、お前らに、い、一円も払わない!」


 僕はそう言い放った。


 奴らは一瞬あっけにとられたようだが、すぐに


「何言ってんだよカゲ」


「ちょっとあっち行こうぜ」


 そう言って奴らは人目のつかないところへ僕を連れて行った。


 そして、奴らが拳を振り上げ、僕が殴られると覚悟した瞬間、僕の前に彼が割ってはいった。

 ちなみにショウさんは隠れてカメラで動画を撮影していた。


「あなた、何やってるんすか」


 ここまでは伝えられたとおりにことが進んでいた、しかし、奴らは彼にも殴りかかろうとした


 僕は完全に失敗したと思って、せめて彼だけでもと彼の前に立ったその時、


「やめないか!君たち!」

 と、警察官が横から声を上げていた、

 ショウさんが呼んでくれたのだろう、逃げようとする奴らに彼は道をふさいだ。


 そして、奴ら全員が警察に止められ、僕たち三人は警察署にて話を聞かれていた。


 警察官はしっかりと話を聞いてくれていた、ショウさんが取っていた動画は証拠として強かった。

 いじめのほうは証拠が少ないと言われたが、ショウさんがレストランでの会話を録音していたらしく、何とかなるそうだ。


 彼らは殴られるとこまでは予想していたらしい。だが、僕がそれを知るとできなくなると思いあえて伝えなかったらしい。


「ありがとうございました」

 僕は事情聴取が終わって帰ろうとする二人に感謝の気持ちを伝えた


「いやいや、俺らはただ作戦を考えただけだから、結局やるって決めたのは君自身だし」


「でも、僕は何もできませんでした」


「何言ってんだよ、君はあいつらの前に堂々と立って堂々と拒否していた、今までいじめられてたのに、そんなことができっるってすごいじゃないか」


「あぁ、君は強いよ」


 彼らは僕のことをこういってくれた、否定したかったが彼らの言葉の説得力が強く


「そう、、ですかね?、、、そういえば名前、、、」


「俺は浪打蒼、高1だ。」


「俺は夏海翔風、横に同じく」


 僕も彼らと同い年だったらしい


「僕は影山隠夕です、僕も高1です。」


「やっぱ、同い年だよな」


「お前中学生と間違えてたくせに」

二人で仲よさそうに話す


「あの、どこの高校か教えていただけますか?」


「まず、敬語やめようぜ、話しにくい」


「はい、じゃあ改めて、高校はどこにかよってるの?」


 今度、改めてお礼でも、しに行こうと思い高校を聞いた


「えっと、風山高校」


 私立の名門校で、金さえあれば僕も目指していたところだ


「へー、そうなんだ」


「やっべ、そろそろ帰らねぇと」


「じゃ、なんかあったらいってな~」


 そう言って彼らは帰っていった。


 風山高校か、、



 それから間もなくして僕の母と妹が来た。

 母は着くなりすぐに泣きながら僕に抱き着いてきた、


 母に一旦落ち着いてもらい、僕はすべてを母に話した、


 話し終わると母はまた泣きながら、謝ってきた


 僕は力が抜けた感じなり、母の声も聞こえずスッと眠りに落ちてしまった。


 ――――――――


 あの後は、思ってた数倍スムーズに事が進んでいった。


 あちら側の母親が激昂げきこうしたが、証拠の動画と音声を見せたら急におとなしくなり、

 慰謝料と今までカツアゲされた分の金銭を支払い、あちら側が引っ越すという形で話をつけた。


 学校のほうはというと、僕が相談した先生は退職になったが、居心地が悪くなったのでせっかくの機会だと思い、蒼たちのいる波風高校に転校した。


 学費は馬鹿にならないが、慰謝料などと僕が今しているバイトを続ければなんとか賄えた。


――――――――――

――――――――――



 こうして、僕を救ってくれた蒼くんや翔風くんを今、手伝うことができるのなら、僕はやるしかない。

 

一人の男の無言の決意が夜の廊下に響いた。



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