第3話 勇者は今日も行く!

 俺の勇者としての活動により、日本から転移、転生させられる若者は居なくなった。

 けれどもあろう事か異世界の神は今度は世界に目を向けだしたのだ。


 俺は日本の神様に勇者として覚醒させられたので、世界ではこの力を使えない。


 しかし……

 

 そう、しかしだっ!!


 俺は勇者だ! 勇気ある者だ!!


 弱きを助ける為に目覚めたのだから、その場所などは関係ない!


 誤解のないように言っておこう!


 これは決して外国に行って、日本人女性にはない魅力的なボインボインを見たいから言ってるのでは無い! そう、断じて無いのだっ!!


 そうして決心した俺は吉祥天女きっしょうてんにょ様に心から祈りを捧げた。


『吉祥天女様、俺の勇者としての力をワールドワイドにして下さい! 俺は異世界にさらわれる全ての若い人たち主に女性を救いたいのですっ!!』


 俺の祈りは届いた! 吉祥天女様は俺に新たな能力、転移を授けてくれたのだ。これにより、俺は世界の何処にでも行けるようになった。


 俺が日本でしか活躍出来ないと思っている異世界の神たちよ! 貴様らの企みはこの勇者ダイチが叩き潰す!!


 そして、俺は世界の勇者となるのだ!



 


 俺は今、アメリカの刑務所にいる……


 異世界の神の企みにより、大統領車が使用される事を知った俺は大統領車を両断して、いつものように片側を細かく潰していた所をSPにより逮捕されたのだ……


 何故だ? 俺は勇者だと説明したのにこいつらは何故信じようとしないのだ? こうしている間にもまた別の場所で若い人たちが異世界にさらわれようとしているのに、何故分からないんだ!?


 俺は吉祥天女様から授かった転移を使用して刑務所から出た。そしたら、全世界に指名手配されてしまったのだ……


 しかし、俺は勇気ある者、勇者だ!!

 

 例え人々から理解されずとも己の活動に信念を持っている。だから俺は今日も世界の何処かで、人知れず異世界の神の企みを潰すのだ!!





「臨時ニュースをお知らせします。世界的なテロリスト【勇者ダイチ】と名乗っていた者がアフリカで目撃されました。けれども、日本に戻っているとの情報もあります、皆さん気をつけて下さい。神出鬼没のテロリストですので、何処に現れるか分かりません! 幸いな事に人を殺す事だけは行っておりませんが、見かけたら直ぐに警察に連絡をいれて下さい!」




 俺は勇者ダイチ…… もう疲れた……


『吉祥天女様…… もう、無理です……』


『アラ? もう無理なの? それじゃ、しょうがないわね。私が出迎えて上げるわ、いらっしゃい』


 俺は今、吉祥天女様によって身も心も天国にいる。 


『フフフ、ダイちゃんはここが弱いのよね〜』


『オオオー、天女様、そ、そこは〜』


『たーくさん、頑張ってくれたダイちゃんにはいーっぱい、サービスしてあげるからね。人の事を嫌いにならないでね』


『はい〜、天女様〜、勿論です〜……』


『ホントに人って馬鹿よね〜、ダイちゃんが一所懸命に頑張ってくれてたのに、指名手配するなんてね。ダイちゃんはもう私の元で何の心配もしないで暮らしなさいね……』


 俺は勇者として働いて良かったと今でも思っている。




「緊急ニュースです。世界的なテロリストだった【勇者ダイチ】が遺体で発見されたそうです。世界の危機は去りました、皆さん、これからは安心してお過ごし下さい」


 


 その日をさかいに世界中から年若い人たちがどんどん少なくなっていった……


 

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勇者とは人々に誤解される者だ…… しょうわな人 @Chou03

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