Imposter Syndrome

インポスター症候群 (Imposter Syndrome)

①自分の実力を内面的に肯定できないこと

②???

サイレンの音が近づいてくる、パトカーだ。

パトカーは公園の前に止まり、警察官が一人降りた。

警察官はすぐに蝶の元へ駆け寄った。

「蝶ちゃん、だよね?」

蝶は頷いた。その泣きじゃくった顔で。そして震えた声でこう言った。

「どうしたんですか?」

「蝶ちゃん、今日学校行ってないでしょ。」

「はい…」

「それを心配してね、誘拐かもしれないから探しにきたの」

警察官の声はとても優しくて、包み込まれるような温みを感じた。―――


蝶にとって警察は格好良かった。

何だか正義感の塊のような、この世界の味方というか。

蝶には勇者のようにも見えた。

そういえば彼も、将来の夢は警察官だった。

彼は「悪者」という概念が根本的に嫌いだった。それは蝶も同じだった。

だからなのか、二人の波長が合うからなのか仲が良かった。

他愛もない会話を繰り返せる、そんな時代は今はもう、ない。―――


結局蝶は警察官に連れられ学校に行った。

担任の先生にも怒られた、でも、何も感じなかった。

教室なんか行きたくなかった。それでも、先生に連れられ教室に行った。

今は六時間目、授業は「道徳」、内容は「いじめ」

こんなにも地獄なことはない。授業中、山上が口を開いた。

「先生、いじめっていじめられる奴の方が悪くないですか?」

先生は笑いながらこう言った。

「確かにそういう考え方も分かるけど、でもあんまりよくないと思うよ」

先生までもの人間が蝶を否定した。

蝶は自分が悪いんだと、絶対に違うのは分かっているけど、悪者は

山上であると、でも、蝶が悪い。蝶が悪いんだ。

自分で自分のことを否定するのは気が気ではなかった。けれども仕方がなかった。

夏嵐が吹き荒れる頃、

蝶はこの世界に「別れを告げる」決心が付いた。


インポスター症候群 (Imposter Syndrome)

①自分の実力を内面的に肯定できないこと

②Butterfly Effect内において、自殺をする一歩手前の状況のこと



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Butterfly Effect @kaiware_moyashi

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