Baker Baker Paradox

ベイカーベイカーパラドクス(baker baker paradox)

①ある人物を思い浮かべた際、その人の見た目や、趣味などが思い出せるのに、

その人の名前が思い出せない現象のこと。

②???


六月、蝶は雨の中、いつものように学校に向かっていた。憂鬱である。

学校までの道のりが、果てしなく遠い。

あの日から、ただの通学路も、地獄の用に感じる。

ただの家も、電柱も、喋りながら登校している小学生も、何もかもが怖い。

そんな最中蝶は、公園に咲く一輪の花を見つけた。青い紫陽花だった。

蝶は紫陽花に惹かれるように、魅せられるように近づいていった―――

気がつくと、とっくに登校時間は過ぎていた。もう何時間経ったのだろうか。

蝶はなぜか今日だけその花が何だか自分に似ているように思えた。

蝶は紫陽花をキッカケに小学校時代の友達との話を思い出した。

その友達は、蝶にプレゼントとして、紫陽花の栞を貰ったことがある。

友達は、蝶がよく植物図鑑を読んでいる事を知っていた、のか

一番好きなピンクの紫陽花の栞をくれた。花言葉は確か、いや、止めておこう。

そんな彼はクラスでは人気者で頭が良く、蝶のそばにいつも居てくれた。

彼の名前は、、、

「名前が思い出せない―――」

蝶はその事に気がいた。今まであんなに話していたのに。

あんなに仲が良かったのに。

蝶は自分のことに精一杯で、仲が良い人のことも、忘れてしまっていた。

彼のことを思いやる事も、思い出すことも、できない現実を目の当たりにした。

蝶は悲しみ、苦しみ、泣き崩れた。雨に打たれながら。

青い紫陽花が、まるで蝶を嘲笑うかのように、そこに咲いていた。

花言葉は、「あなたは美しいが冷淡だ。」



ベイカーベイカーパラドクス(baker baker paradox)

①ある人物を思い浮かべた際、その人の見た目や、趣味などが思い出せるのに、

その人の名前が思い出せない現象のこと。

②Butterfly Effectにおいて、蝶の記憶が消えていく様。

また、自分を追い詰めていく様子。

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