全力戦闘

ただ力が強い、ただ速い。これら1つだけならば大して脅威ではない。

なぜか?

当たらなければ力がいくら強くとも無意味、速く当てても効かなければ無意味なのだ。

力が強いという事は重い攻撃になる。

それによって

速度と力は足し算ではなく掛け算になる。


『…この速さと力は脅威。…でも技がない。…がむしゃらにやっても当たらない!』

正面から打ち合えば、押し負けると最初の激突から学んだルキナ。


アロガントが力任せに拳の雨を降らすも、大振りで雑な連打。

ルキナはその軌道を読み、流れる様に避けていく。

『ウゴオオオオオ!!!』

一際大きな声で叫び右腕を振り下ろしたタイミングで、彼の腕に飛び乗り、

『…打撃には"踏み込み"が、重要!!』

バキバキィィィ!!

裂帛の気合いと共に握り拳の親指の付け根を踏み折った。

折った部分から足を引き抜き、一気に腕を駆け上がる。そして、肩に向かって行った。

『"正拳突き"!!!』

ドスン!!!


ルキナの竜気を纏った正拳突きにより、右肩を破壊した。

そしてその勢いを持って、アロガントこ顎に強烈な前蹴りをぶち当てた。

『…その速さも慣れればね』

ヒラヒラユラユラと避けながら全力で攻撃していく。

ルキナより走り出し、背面に回り込んでいくノワル。

ノワルは一気に首を断ち切ろうと当たるも、弾かれてしまった。

刀というよりも、渦巻く魔力が弾かれてしまった。

『あの金ピカゴーレムと似た様な感触ね。』


弾かれた感触から、魔力の効果は薄いと判断し、刀自体の強化に魔力を込めていく。


『ルキナ!そのまま正面お願い。私はあの邪魔な翼をぶった斬るわ。進化して飛ばれると面倒だし。』


『…分かった〜』

正面に回って表側にダメージを与えていくルキナを囮の様な形で利用し、素早く左の翼の付け根に接近。

一瞬の溜めの後に抜刀。


『は!』

縦に斬り上げ左の翼を根本から切断。

一瞬の残心として構えを整えすぐに右の翼に飛ぶ。

『イッッッツ!?!?ガグゥ!?!?』

『…よそ見は厳禁!ハァァァァ!!!』

『グガァァァァ!?!?』

突如左の背中に走った激痛にたまらず悲鳴を上げるアロガントに猛攻を仕掛けるルキナ。


サンドバッグの様に激しく殴られて揺れる巨体の背中を走り、ノワルはすかさずもう片翼も切断した。

『ハァァァ…。尻尾もぶった斬りましょうか。邪魔だし。』

駆け降りながら魔力をさらに黒鉄に流していく。

降りながらアロガントの首の方に顔を向けると…

ルキナがアロガントの巨体をの周りを縦横無尽に動きながらラッシュを仕掛ける、連撃離脱戦法というモノを敢行していた。

しかし、

全身への激しい殴打の連続によって明らかにダメージは蓄積しているはずなのに、アロガントの動きが、全く鈍くならない。

『グゥゥゥゥゥ!!キカネエヨォォォォォォ!!オラァァァァァ!!!』

『…血が結構でている上に攻撃の手応えからして効いてるはず。…なのになぜ?』

ルキナは自らの攻撃が効いてる感覚があるのに、弱る気配が見えないのだ。

その疑問に答えたのはノワルだった。

『魂を燃やしてるのね。こいつは何人も部下を食って取り込んでた。だからこんな無茶も出来るってところかしら。』

『…じゃあ、無限に続く訳ではないって事だね。』

『そういうこと!だから-ちっ!気付かれたわね!?』

ブワ…

変異体の背中から触手の様なモノが現れノワルに襲いかかるも、

『キモい!!』の一喝とともに斬断していく。

『…なるほど。…ならもっと行かないとダメだね。"整息脱力"』

脱力し攻撃を風に吐かれる落ち葉の様にフラフラと避ける。

さらに、ルキナはスゥゥゥゥゥハァァァァと深く深呼吸をする。

肩や足を動かして、調子を見ると一気に突撃し攻撃を再開していく。

『…よし。…もう一押し!!…めった打ちよ。』

ドン!!!

『ォォォォォォ!!!』

狂った様に叫び、攻撃をしようとしてくるアロガントに対して避けながらその腕や足に強烈な拳や蹴りを打ち迎撃し、さらに前進していくる。

『一気に一刀両断出来れば良いだけど、中にタカシがいるから、無理なのよね…胴体残してダルマにすれば…よし。"シャドーナイツ"』

前から攻めるルキナに続き、ノワルも攻撃を再開する。

影から自身の分身を生み出して、一気に畳み掛けていく。

前後から打撃と斬撃による猛攻によりなす術なく倒れた。









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