決着その1


2人の猛攻を受け倒れたアロガント。


2人がアロガントに攻撃をしていた時、アロガントの内部では、タカシとアロガントが戦っていた。

取り込まれた彼が目にしたのは、生物的なモノを感じさせない空間だった。

そこは体内であるはずなのに、派手な城の王座の様な場所だった。


とにかく派手で、壁一面が金色を下地にさまざまな宝石が散りばめられた四方の壁、金の玉座、アロガントの裸の像が左右に六体ほど向かい合って並んでいた。


そしてその王座に座るのはアロガント。

『どうだ?美しいだろう?すぐに、現実世界もこの素晴らしい王座ができる。この勝負のあと、貴様はこの世にはいないだろうから幸運に思うがいい。

彼の中に無理矢理引き込まれたタカシ。

『くそ!?マズイ!!』

アロガントの"中"というのは彼の領域であり、彼の世界である。

彼の世界では彼の思い通りに事が動く。

それにより、アロガントの攻撃が全て当たり、タカシの攻撃が効かなくなった。

(な!?)

アロガントの思い通りに全てが進む。

カウンターを決めたと思っても何故か自分の拳や足や糸は外れ、アロガントの拳や蹴りがクリーンヒットする。

投げ技に持ち込んでも、腕を振るだけで返され逆に投げ飛ばされる。

石を糸を使って投げても見当違いの方に行くか、打ち返される。

先ほどまでタカシは、身体能力で負けていたが、技術で勝っていたため、なんとか戦えていたが、こうなってしまうと圧倒的に不利になり防戦一方のタカシだった。。

懸命に防御を固めてもカンタンに崩され意味をなさい。

瞬く間にボコボコのズタボロにされてしまう。

『ハハハ!!なんだ!?その程度か!?』

こちらを嘲笑いながら雑に拳や蹴りを繰り出してくる。

そしてそれがどれもキレイに決まる。

『ぐ!?』『が!?』『ごはぁ!!』

(急に動きが!?いや…そういう次元の話じゃないぞ!?これは!?)


あまりにもアロガントの思い通りになり過ぎている状況に圧倒されるしかなかった。

『ふははは!!弱いな!弱すぎる!』

『くっ!ゲホ!ハァ…ハァ…くそ。』

(防御固めてたおかげで、まだ何とか動けるが、何をしても全く通じない。)

外の様子も気になるが、あの2人が早々やられる訳がない。


ついにやったかと思われたがなんと、倒れたアロガントは、2つの首を持ち上げ、口から光を放つ。

そして首の分かれ目からアロガントのニタニタとした嘲笑を浮かべたまま出現し、突然語り始めた。


『お前たちを手に入れる為にやった。

街で見かけて一目惚れ、すぐに手に入れようと思ったら男がいたので、そいつを痛めつけてやるついでにノワル達を手に入れれば良いと考えた。

無差別に襲って騒ぎをおこし、ギルドからの強制クエストを発生させる。そしてそのクエスの中でタカシ達を決闘に参加させて勝ち、ノワル達を決闘の商品とする事で手に入れる計画だった。じきに俺の中で奴は終わる。そうすればお前たちは俺のものだ!!』

ノワルとルキナを見ながら町中に響き渡るほどの大きな声で自分が全ての元凶だと言う。

『は?意味不明というか、くだらな過ぎて理解するのを拒否してるわ…。嘘って訳ではないみたいね。っと!ルキナ!』

『…うん!。…命乞いと言うよりも勝利を疑ってない?。…これって自白というか言質を取った?、』

突然のアロガントの暴露に、面食らった様子の2人だが、すぐに我に返り二つの口から魔力の収束された光が見える。

その光が一際強く輝き、発射寸前!といったところに

『やらせんよ。』

ドォォォォォォォン!!!

『『グガァ!?!?!』』


さらなる攻撃を放とうとしたアロガントの頭上から響いた声。

それと空から急降下した男は頭を2つ同時に左右から挟む様に雷撃を放ち、頭同士を激突させその上に着地し地面に叩きつけた。

土埃の中、心底不快そうな声と共に現れた。


『ま、まさかゼースギルド長!?』


『ん?ノワルか。大層な魔力と不快な騒音を出していると潰しに来たが、まさか無差別襲撃事件の犯人が自ら名乗るとはな。』


ゼースによって変異体アロガントが瀕死の状態にされた事と覚醒を阻止された事で彼の世界に異変が起きた。


ビキ!グゴゴゴゴ!!

突然、世界にヒビが入り、崩壊が始まった。

『な、なんだと!?グ!?グゥゥゥゥゥ!?!?』

異変と同時にアロガントが座り込み頭を抱えて唸る。

『こ、これは一体!?』

急にヒビが入って、豪華でひたすら派手というか成金趣味に走り続けてしまったといえる王座ら見る影もなく崩れていく。

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