決着その2

ビキ…ピシ…

空間に亀裂が無数に走り、崩壊が始まった様な有様の中で、アロガントは先程までの無敵振りが嘘の様に全身がボロボロと崩れ始めた。

『い、痛い!痛い!アアアア!?』

外でノワル達がアロガントをなんとかしたのかもしれない。


(外で起こった事は分からないが、このチャンスを逃す訳にはいかない!)

『"'糸引反打"』

動きの止まったアロガントに糸を巻きつけ、こちらに引き寄せる。

それと同時に引いた手の反対側の拳を叩きこむ。

それを数回繰り返し最後に

両手で引き寄せて顔面に膝を打ち込んだ。

『殺しにかかってくる相手だ!これくらいはするんだよ!』

若干やり過ぎたかも、感じたがそもそも命を狙ってくる相手なのだから遠慮はいらないかという結論に至るタカシだった。


突然の激痛が全身を駆け抜けたとき、アロガントは自分の世界が崩れ去るのを感じた。

先ほどまでの全能感が嘘の様に消え去り、全身から力が抜け激痛が走る。

(く、クソ!!覚醒の兆しを確かに感じたのに…取り込んだ下僕達だけでなく己自身すらも使ったはずなのに…!)

自分が下僕達を取り込み、あのお方…いやアイツも超える力を手に入れる事を望み魂を燃やした。

そして、覚醒に至ったと感じた瞬間に兆しが消え失せた。

(クソが!)

厄介なことに、消費した力ははそのまま消えてしまっている上に、自身すらも燃料としたため生命力が大幅に削られてしまった。

『だ、だがここでお前を亡き者にすれば…がはあ!?』

さらに世界が崩壊したことにより、アロガントの都合の良い結果にならず、大きな隙を晒した彼はタカシの攻撃をまともに受けてしまった。


『ク、クソガァ…』

なんとか立ちあがろうとするもまるで力が入らず、何も出来ない。


アロガントが倒れたのと同時に世界の亀裂が一気に広がっていく。

(こ、このままじゃ、一緒にコイツと心中する羽目には…ならないな。)

突然の出来事が連続して起きたせいで混乱を通り越して冷静になったタカシだった。

次の瞬間

亀裂から腕が伸びてきたと思ったら、タカシを鷲掴みにしてあっという間に出た亀裂に引き込んでしまった。

(か、解放されたのか…?よく分からないけどよかった…)


『まさか使う事になるとは思わなかったぞ…

まあいい。カミヤ タカシはこの辺か。』

アロガントの顔の額部分に手を突き刺さして何やら探ったのちにタカシを引き摺り出した。


突然現れた手に引っ張り上げられて、気づくとそこは元の世界だった。



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