変異
全く!?どうなってやがる!
こいつはもう、モンスターとかの括りに入る類の怪物か!
アロガントが怪物になったのだから、アロガント・クリーチャーってところか。
なんて事をタカシが考えていると、側にルキナとノワルがやってきた。
『…力も増してる。…竜種には"竜化"という能力があるけど、コレは多分ちがう。』
『ええ。双頭の竜はいるけれど、あんな四肢が発達してる上に顔半分が人の顔でしかも2つともなんてね…異常よ。』
2人ともアロガントの変異に驚くと共に不快感に顔を顰めている。
『『オオオオオオオオ!!!コレダァァァァ!!ギハハァァァァ!?!!』』
グリュグリュ!!
そして、身体中から黄色の触手が無数に飛び出し瞬く間に周囲にいた部下達を有無を言わさず取り込んでいったのだ。
触手が自分たちではなく、周りの部下たちに向かって行ったから、まさかとは思っていたが、本当に部下食ってるのか!?
『あ、アロガント様!?ガギウ!?』
『い、嫌だ!!ギャ!?』
『た、すけ…ガバガァ!?』
触手に絡め取られた彼らはそのままアロガントに丸めて食われてしまった。
アロガントの部下達は蜘蛛の子を散らすように逃げていったが、全員触手の餌食となった。
『あ、あいつ自分の手下全員食いやがったぞ!?』
『止める暇も無かったわね。』
『…今はまだ、こちらに来ないのが不幸中の幸いかもしれないけど、私達や街の人まで伸びるかもしれない』
『手下連中はまだしも、街の人や俺たちがアレに取り込まれるのは何としてでも避けたいな。』
『倒す以外無いわね。撃滅よ。』
俺たちが向き直ると、
アロガントは部下達の吸収して得た力に酔いしれるように陽気に笑い出した。
『グハァァハハハ!!チカラがミナギッテくる!!コレナラバ!!!』
仲間を食い殺して笑っている…何で奴だ。
自己中もここまでくると反吐が出る。
そしてアロガントの周囲の空間が彼の放つ魔力により金色に変色し始める。
『な、なんか奴の周りが辺な色になってるぞ!?』
『あれは…まさか侵食しているの?』
『…アレだけ命を喰らえば出来ない事も無いかも。…それ以外も何かありそうだけど。』
ノワルとルキナはアロガントの周囲の変色に驚きながらも冷静であるところは流石だな。
『空間の侵食って…出来るのか?そんな事。どういうことなのかも分からないぞ。』
荒唐無稽というか聞いた事もないし見た事も無い。
『普通は無理ね。ただ、この決闘空間である事と、数十人の命を取り込んだ状態なら、数分くらいは可能じゃないかしら。』
『…この空間は明確なルールがあるから、それを少し変えれる程度。』
『な、なるほど??』
何だかわからないが、とんでもない事をしている事は分かった。
そんな3人を前にしたアロガントは
2つの頭が同時に雄叫びを上げ両腕を天に掲げた。
凄まじい勢いで魔力が腕に集約されている…ってまさか…
そして飛び上がった。
あ…これは…まずい!?
『…まずいね。…離れなきゃ埋まっちゃう。』
『埋まりたくはないわね。』
『か、回避!!』
俺たちは慌ててその場から離れるが、奴はデカいのだ。
ドゴォォォォォン!!!
『うぉおおおお!?』
直撃は避けることが出来たが、全員衝撃で吹っ飛ばされた。
『…大きい分範囲も広いね。…それにこの空間は面倒。』
『そうね…タカシとあの変なので決闘が成立してるのよね…』
俺と同じように吹っ飛ばされたのに普通に着地している2人。
叩きつけられた両腕を中心に巨大なクレーターが出来る。
そして、決闘空間が彼の巨大化により広がり、ギルド前の広場だけでなく、周囲の建物まで範囲に入った。
そして今の攻撃により瓦礫の山と化したのだった。
というか、うちのご主人様方はこれくらっても埋まる程度で済むのか??
『'決闘する2人はお互いの攻撃でのみ勝敗をつけることが出来る。'だったか。』
よく分からないまま決闘させられているが、その辺のルールは奴隷紹介所にいた頃に聞いた事があった。
『それもあるけど、一対一の場合、故意に部外者に何かしたら決闘が無効になる。』
『…けど、そのへんもアレがおかしくなってるかもしれないから、どうなってるのか。』
ルキナが呟くと…
ズズズ
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