家にいこう。
家があるという場所に着くと、そこには豪邸と呼べる建物があった。
『…大きい。…結構良い屋敷だね!』
『お、おう…』
ルキナは目を輝かせている。
そんな様子を横目にタカシはかなり驚いていた。
庭は少し荒れているが、建物自体は多少の経年劣化はあれど、綺麗だった。
『荷物もあるし、入りましょうか。』
ノワルが鍵を取り出し、扉を開けて中に入っていったのでそれに続いたルキナを追って中に入ると、妙に生活感があるというか、小綺麗だった。
また、誰かがいたような形跡が多くあった。
『ここにはアンデットどもが地縛霊の様に押し込められていてな。』
『…それって大丈夫なの??…見た所アンデットやモンスターの気配や臭いは感じないけど。』
クンクンと周りの臭いを探る様にするルキナが言った。
『その事だけど、後で説明するわ。とりあえず…掃除よ!はいこれ。』
ビシ!
空間庫から箒を取り出したノワルがタカシに突きつけた。
『そりゃそうだな。アンデットがいたにしてはかなり綺麗だけど、ちょっと住むのにはな…』
そう言いながら箒を受け取ると、他の掃除道具を出し、ルキナに渡して、自分もハタキを持ったノワルの指示の下、掃除を始めた。
元々そこまで汚れていなかったので掃除はすぐに終わり、各自部屋を決めた所で、タカシは気になっていた事を改めて聞いた。
『部屋が決まった後に言うのもなんだけど、俺も個室でこの家に住んで良かったのか?』
『良いでしょ別に。一緒に野宿だってしたのに今更よ。』
あっけらかんというノワルにルキナも特に気にした様子もなく
『…奴隷だけど、仲間。…だから住んで良い。』
『ならよかっ—』
『…でも覗いたり下着取ったりしたら…』
バキャ!!!
ルキナはどこから取り出した石を粉々に握り潰した。
『わ、分かってるっての!!』
美人であるのは間違いないが、手を出したら火傷どころか消し炭になるような類の2人だ。
よほどのことがなければそんなムフフな展開にはならな…まてよ?
『ま、まあ?偶然、たまたまそういう場面に遭遇した場合は…』
『それは、仕方ないわね。お互い気をつけていても一緒に住む以上はね。』
『…それは仕方ない。』
そこは流石に2人も許してくれるようだ。
『そんなどうでもいい話はやめて、コレについてよ。』
ノワルは禍々しい魔力を放つ杭を取り出した。
『…いやな感じがすごいする。…まさかコレが?』
不愉快そうに眉を顰めたルキナらノワルの取り出した杭をマジマジと見つめていた。
『そう。コレがこの屋敷に巣食っていたアンデットになるまで魂を縛っていたアイテムよ。』
『趣味が悪いな。いったいなぜそんな事を?』
『何となく想像がつくけど、胸糞悪いだけだけよ。』
吐き捨てるようにノワルは言った。
『…今回の騒動と何か関係あるの?』
『そうだな。コレがなにか犯人に繋がる鍵になるのか?』
目的は謎だが何らかの悪事に利用する事は出来るような気がする。
そんな期待を込めてノワルに聞いてみるが
『うーん…わたしの勘ね。ほら女の勘はよく当たるって言うでしょう?』
まさかの何となくそう思ったからというか、思い着き以外何者でもなかった。
『勘かよ…でも、そのままにしとくのは絶対良くないってのはあるよな。』
アンデットは負の力の塊といえる存在で、それらを糧にするより強大なモンスターを呼び寄せてしまったり、悪いネクロマンサーなどが嗅ぎつけてきたら大変なことになる。
『これ、縛った上で恨みとか怒りとか負の方面の想いを増幅させてるみたいなの。一連の事件って人々が不安になったり、襲われた被害者と親しい者は恨みを募らせてる。』
どちらも負のチカラを集める手段として使えるという共通点があるのではないかと考えているようだ。
『…こじつけというか無理矢理関連させようとするとそうなるね。』
ハァ…とため息を吐くルキナ
『ええ。そもそも犯人が誰なのか分かっていないし、決定的な証拠があるわけでも無いわ。』
関連があるかもわからないが、"こういうモノがこの屋敷にあった事"コレが重要な事だろう。
ノワルはその杭をしまった。
『今回の騒動を抜きに、用心をしておきましょう。』
『ふと思ったんだが、それ壊さないのか?』
壊してしまえば、使えなくなるのではないかと考えての事だった。
『…この手のアイテムは破壊不能だったり、呪いが溢れ出たりするかもしれないけど、壊せるなら壊した方がよいかも。』
当然、この手のアイテムの破壊にはそういったリスクが発生する。
『そうしようかしら。』
そう言うと
ノワルの手から黒い魔力が溢れ出し、杭を破壊した。
ブゥゥン!!
パシュン!!
すると、気味の悪い魔力が杭の残骸から立ち上った。
『おい!?大丈夫なのか!?』
『まあ、大丈夫よ。みていなさい。』
ギュルン!!
瞬く間に黒い魔力が立ち上がった魔力を染め上げた。
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