怒るマスター


ギルドに足早に向かうルキナだった。


--ギルドマスターの部屋--


『マスター!!今回の事件に関連がありそうな者達がいると、警邏隊から報告がありました!』


職員が報告に入ってきた。


『聞こうか。』

『はい。警邏隊によると、ただの人攫いというか、盗賊にしては妙に良い装備であること、金の竜らしきエンブレムがある事などだそうです。』


ゼースは報告を聞いてため息を吐いた。


『はあ…面倒な事をしてくれたものだ…。中途半端に力や知恵があると始末におえん。』


心底面倒だという表情をしたゼースに職員は苦笑いをしながら聞いた。

『お知り合いですか?』


『ああ。ある意味身内だ。俺の派閥の中堅くらいの地位にある。』

苦々しい顔をしたゼースに職員は驚きの声を上げた。

『王族に親交のある家という事ですか!?』

『まあ、そういうことになるな。とはいえ、家全体でやってるのか、その家の中の誰かが独断でやっているかは分からん。』

(家をあげてやってるなら、あの家は消す。誰かの独断ならソイツを消しておわりだな。)

『そ、それは大丈夫なんですか?その…王族の評判とか…政治的な。』

心配そうに聞いてくる職員に、ゼースはあっけらかんとしていた。

『隠して放置する方が損害が大きい。それにこの程度の小物にビビっていたなんて思われる方がこっちにはキツい。だから、容赦無く消えて貰う。』

バチィィッッッッ!!!

彼の怒りを表すかの様に魔力がスパークした。

『ひえ!!!な、なるほど…』

『そういう事だから、普段の仕事に加えて冒険者達に証拠集めをさせて、騎士団には警備を強化するように伝えろ。』

『承知しました!』

職員は急いで出ていった。

『さて。どう動く?』


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