迫る悪漢
タカシと別れたあと、しばらく色々な店を見て回ったルキナ。
『…そろそろ帰ろうかな。…何か見られてる???』
身に覚えがないが、ものすごく不愉快な視線。
それも複数から感じた。
さりげなく周りを見回すと、6人ほどの男達が自分を囲むように追ってきているのが分かった。
感じるチカラからはあまり脅威にならない程度のものしかないが、人数差や不意打ちなどを受けたらわからない。
(…ナンパって雰囲気ではない。…もっと嫌な感じがする。"身体強化"、"防鱗")
身体能力を上げた事を悟られない様に、歩く速度を落とさずに、とある場所の近くから路地裏に入った。
追ってくる連中を確認していると、人目がつかなくなった瞬間に先頭の男が飛びかかってきたーのをかわして開いた足の間を蹴り上げた。
『おとなしく…ぐギャ!?!?!?!』
足に伝わる気持ち悪い感触に顔を顰めながら、その場でうずくまる男から距離をとった。
『…いきなり襲いかかってくるから!…正当防衛だからね。』
追ってきた男達に向かって叫んだ。
『て、てめえなんて事しやがる!!』
(何だ今の動き!?完全に不意打ちを決めたはずなのに…)
一連の動きを見て、只者では無いと悟ったのか、リーダーらしき男は、うずくまる男を見ながら怒鳴った。
ルキナは足に残る不快極まりない感触と、先ほどまでの不愉快な視線に嫌悪感を丸出しにして言う。
『…何か用事。…わたしはあなた達と会ったことも見た事も無いけど?』
『た、タダじゃおかねえぞ!お、おい!囲め!』
ルキナの背筋の凍る様な声を受けて、冷や汗を垂らしながらリーダーらしき男が叫ぶと
ゾロゾロと集まってくるガラの悪い男達が集まってきた。
『さっきのはマグレに決まってる。』
『こいつは上玉だぜ!』
『へへへ、この人数だ。大人しくした方が身のためだぜ?』
下衆い顔をしながら集まってきた。
建物の影にも数人見えたルキナは、1番近い男に突進した。
(…不愉快。… でも隙だらけ。)
『な!?ぐがぁ!?』
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