外道な道具

『まさかとは思うけど?』

扉を開けると、中には鎖が胸に突き刺さっているレイスが4体おり、大きいレイス2匹は幸せそうに浮かんでいるが、小さい2匹は苦痛の表情を浮かべて意識がある様だった。


『ユル…サナ…イ…ゼッタ…イ…ニ…』

『モウ…カイ…ホ…ウシテ…』

と大きいレイス達を憎らしげに睨みつけていた。

それを見たノワルは

(噂で聞いていたけど、ここの屋敷で一家心中が起きたって…親が満足そうにしてて、子供が怨霊と化してるという事は…)


恐ろしい事実であるが、この2人は子供を巻き込んで自殺した可能性が高い。


それと、もしかしたら、この鎖は魂を縫い止めてしまう物かもしれない。


その横の部屋では、鎖の刺さったゾンビが食いあっていた。


どちらかが力尽きると、周りの負のチカラがあつまり、無理矢理再生させてまた食いあっている。

『オマ…エ、ゼッタ…イ、ユルサ…ナイゾ…!!』

『アン…タ!!ゼッタ…イ』

とノワルを無視してお互いに恨みをぶつけ合っていた。


(この特性…まさか"亡者の縛杭"?死者の魂を無理矢理繋ぎ止めて、負のチカラで死者の魂を穢してアンデットにしてしまう。その上、その鎖の範囲でのみ活動が出来る。)


このアイテムはもちろん違法である。

当然だが、このアイテムをどうにかしなければ、住む事はできない。

全ての部屋で似たような惨状だったので、杭のある部屋に戻ってきた。

『抜いて大丈夫かしら。でも、無理矢理繋ぎ止めているみたいだから解放できれば…』


と引っ張ってみると、スポン!とあっさり抜けて、鎖も消えた。

しかし、禍々しいオーラはそのままだった。

『あら…あっさり抜けたわね…でも、この杭はあまり変わらない…』

抜けたのは良いものの、かなり危険な雰囲気を纏っている。

『封印…しましょうかね』

黒い魔力を箱のようにして、杭を包み込んだ。

『"スィールボックス"封印完了っと。』

部屋から澱んだ空気が薄まっていくのが分かった。

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