突破
『これが"金鏡鉱"か…』
金色の鏡の様な滑らかな鉱石が取れた。
『ほほう。なかなか綺麗ね。』
ノワルが金鏡鉱を手に取りしげしげと眺めた。
『あら。やっぱり魔力を通さないわね。あとそれなりに曲がるし千切れないし、そこまで重くない。』
素手で捏ねているノワルは興味深そうに眺めている。
『…私も触らして?』
ルキナが、ノワルから鉱石を受け取り伸ばしたり曲げたりしている。
『そんなに簡単に曲げたりできるのか。よし。俺にもやらせてくれ。』
そうなのだ。
この鉱石の1番の特徴が、ゴールデンゴーレムと同様に魔力を遮断する性質をもつ。
また、曲げたり伸ばしたり出来るが切ったり穴を開ける事は非常に難しい。
ちなみにこれも図鑑に載ってた。
『…いいよ。』
素手で加工出来るかもしれん。
受け取った鉱石両手で持って引っ張ってみた。
『ふんぬー!!!あれ??』
伸びるには伸びるがノワル達がやっていた様にグニグニと変形させる事は出来ない。
『ちょ…これ全然伸びないんだけど!?』
ノワル達が簡単にやっていたので、そこまで堅くないと考えていたが、かなりの強度を持つ様だ。
ということは…
『これ、もしもの時の為に魔法対策用の護符みたいな感じに加工出来るかもしれん。』
手もギリギリ伸ばせるくらいの強度なら道具を使えば加工は可能だ。
鍛治スキルがあればこういった物の加工をする事が出来る。
『私はネックレスというか胸の辺りに付けられる物が良いわね。指輪とかだと魔法の使用し辛くなるかもしれないし。』
手と胸をの辺りを指差しながらノワルがこちらに来た。
『…私は手袋。魔法を手で取れるから。…闘気を纏えば着けなくても出来るけど、魔法が散ってしまう。』
ルキナは手をニギニギとするジェスチャーをした。
『お、おうたしかに手で取れそうだが、両手はこの量だと厳しいぞ。俺は腕輪にしたいし…』
胸当てにしようと思ったが、それだと俺が全部使ってしまう上に、中途半端な物しか出来ない量だからな。
両手に収まるくらいの量しか取れなかったのだ。
コアも片手に収まるサイズしかないのだ。
だが、鉱石としての価値と芸術的な価値がある為、非常に高価である。
一度抜き出すと、周りを特殊な金属に変える働きは消えてしまう。
『…構わない。…みんなで勝ったんだからみんなで分ける。』
『そうね。止めはルキナだけど、タカシと私は足止めをしたわけだしね。奴隷っていっても、普通奴隷だしタカシは。』
ヒラヒラと手を振りながらルキナと俺を見るノワルに
『ここに来るまでに情けない姿を見せちまったけど、本番では貢献出来て良かったよ。とりあえず、なんとか作ってみるわ。』
道具を取り出し作業を始めた。
『色が派手だから、シンプルな形でもそれなりの物になるから大丈夫よ。』
『…頑張って。』
数時間後
手のひらと甲に大きめの板をつけて指は動きを阻害しない様に細かく分けた。
首にかけるように細長く輪っかをつくって菱形のペンダントの様に加工した。
腕輪は適当に作った。
『とりあえず、こんな物かな。単純に技術不足な所ではあるけど、機能は問題ないだろう。』
ノワルは菱形の場所に魔力を当てて通らないことを確認しながら
『ま、他所に見せるわけでも無いし、ギリギリ合格としましょう。』
手を開いたり閉じたりして感触を確認していたルキナは
『…わたしも、ギリギリ合格にしておく。…これからに期待。』
…良かった。
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