新しい仲間

なんて考えていると、

『タカシさん。換金が終わりました。こちらへお願いします。』

換金額は元の依頼料5万とアンダーマウス討伐数の2万を合わせて7万イエンだった。


こんなものだろう。アンダーマウスは対処法さえ知っていれば、命懸けで戦う相手ではないし、初心者向けのモンスターなのでそこまで額は高くないのだ。


『ありがとうございますー』

報酬を受け取ったあと酒場でエールを飲んでいると、不思議な感覚を覚えた。

ドクン…ドクン

手足の指先から体の中心に向かって、熱が伝わってくる。

そして、妙に鼓動が早い。

さらに、手足がピクピクと痙攣を始めた。

(なんだこれ!?)

そして、何かが入ってくる感覚ととともに背後から声をかけられた。


『良いところにいた。』

振り返ると、ノワルと見知らぬ少女がいた。

彼女の第一印象は"白"だった。

白銀の美しい髪の毛と白い肌そして空色の瞳をした美しい少女だった。 


『…コレが、前に言ってた例の奴隷さん?』

『そうよ。名前はカミヤタカシ。種族不明よ。面白いでしょ?』

とこちらを指差しながら笑った。

『えっと…ノワルさん?こちらの方は??』

となんだか妙な感覚を覚えながら聞いた。

『…ルキナ・ヴァイス。ノワルの友達。パーティーに入れてもらった。』

ムフン!!と嬉しそうに胸を張った。

可愛い…と思ってしまった。

『そういう事だから、私達3人でこのクエストを受けるぞ。』

ノワルがなにやら妙に高いテンションで依頼書をだした。


"ゴールデンゴーレムの討伐"

報酬30万イエンから。

*ゴールデンゴーレムの身体にある鉱石の質によって上がります。

ゴーレム内の鉱石は3割を討伐したパーティーにかえします。


と書いてあった。

『こんな依頼、よく取れたな…』

かなりの高額報酬だし、鉱石も一部もらえるようだし。

『 場所がダイヤガーゴイルの住処付近だからかしらね。』


『…レアメタルのゴーレム?

そいつら硬いんだよね?

なら、私がやりたいわ。』

ルキナがフンス!とやる気を見せる。

やる気があるのはいいけど、体格的に無謀じやないか?

なんて心配をしている奴隷をよそにノワルが決まったとばかりゴーサインを出した。

『そうね。それが一番良いわ。』

え…

耳を疑う発言を聞いたので、流石に止める。

『いやいや!無理ですって!』

見るからに力がなさそうルキナにやらせるなんて…と考えていると

『ああ。そう言えば、知らないのよね。説明するより見た方が早いわね。すいませんー!りんご1つ下さい!』


運ばれてきたりんごをルキナが掴むと人差し指と親指だけで潰してしまった。

更に落ちるりんごだった物。


『おいおい嘘でしょ?』

信じられない光景に驚く。

単純に手で潰せるならまだしも、指だけでなんて…とんでもない力だな…


『この通り、怪力の持ち主よ。もちろん技術も兼ね備えてるから、安心して。』

『…侮るわけではない。…でも、ただ硬いだけの奴には負けない。』


と自慢する様子もなく、ただ事実を述べるのみという様子だった。

先ほどのりんごを潰すのも、殆ど力を入れた様子がなかった。

『な、なるほど…俺より遥かに強いって事がわかりましたよ…ところで、その鱗は…』

首のあたりには、魚の鱗のようなもの見えた。

『…私は竜種だから。』


マジか…

竜種は身体能力も知能も高く、最強の種族の一角である。


全体数は少ないため、滅多に見かける事がない。

『竜か…すげえな。』

とまあ、とんでもないパワーを持ってるのがわかったので、クエストに向かうことにした。

行く先は歩いて3日程度の鉱山地帯だ。

準備をして門つくと

門にて

『いくわよ。走って。』

『…うん』

『おう。』

ん???

『おい。今走って行くって…』

とんでもない事を聞いたので、ノワルとルキナに聞き返した。

(聞き間違いであってほしい…)

『だから、走るのよ。その方が早いし、お金もかからないわ。』

『…歩いて3日程度なら、私たちなら3時間くらいで行ける。』

『お前らはいけても俺は無理です!そんな速度で走れないし、3時間も全力疾走なんて無理だ!』

『しかたない。わたしが手を繋いで走ってやろう。それなら着いて来れるだろ?』

『…名案。採用。』

意味不明なトンデモ案をドヤ顔で言うノワルに賛同するルキナ。

『死ぬわ!腕だけになるわ!』

『耐久力を上げる魔法をかけるから大丈夫よ。それじゃあ行くわよ。ルキナ』

『…了解』

タカシの手を握るとノワルとルキナ駆け出した。

ドヒュン!!

凄まじい轟音と共にタカシの意識は吹き飛んだ

(その時の記憶は轟音が耳を打った事しか覚えていない。)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る