第19話 無一文、依頼を受ける。
ノワルやヘクス達と行動していた頃は、奴隷としての立場や客の扱いだったので、自由に使える金がなかった。
そもそも必要がなかった。
しかし、1人で行動する際には当然ながら金がいる。
ギルドで飲食するのも、街の売店で買うのも金がいるのだ。
ノワル達と受けた依頼の達成報酬は、主人である彼女達の懐に入り、奴隷には基本的に入らない。
そのため、1人になると無一文なのだ!!
『クエスト受けるしかない。借金もできないし、ツケも無理だしな…奴隷の立場って。』
タカシはため息をつきながらギルドに入った。
ギルド内では相変わらず騒がしかった。
依頼板に向かうと、さまざまな依頼があった。その中で、自分1人でも出来そうな依頼をみつけた。
'下水掃除とアンダーマウスの20匹以上の討伐'
20がノルマで以上10匹増えるたびに、プラス5千イエン
報酬は5万イエン
下水掃除は指定区間を掃除するもので、日給2万イエン。
危険手当や不潔な環境での作業であるため、この値段。
アンダーマウスは少し大きいネズミである。
下水道などに住み着くと糞や共食いや鳴き声により被害が出ている。
汚水に潜んでいるため、非常に不潔。ただし、彼らの内臓や肉は良い肥料になる。
毛皮は乾かせば燃料になる。
爪や牙や骨は潰してすることで微量ながら水の属性を纏わせる事が出来る。
1匹では大した量にはならないが、大量に揃える事で、大きな価値をもつ。
この依頼は、バイト募集とクエストを兼ねているのだ。
その紙を取り、受付にむかう。
『この依頼を受けようと思います。』
と紙と身分証をだした。
『お一人ですか?
1人での冒険はリスクが高いです。万全の準備をしてから出発して下さい。
もし、万が一対処不能の異常事態があれば、すぐに撤退し、依頼失敗の報告をお願いします。』
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