第17話 そのころ主人は
そんな事を、タカシがしているころ…
ノワルは友人に会っていた。
『…わたし、冒険者になろうかなって。』
美しい白銀の髪と空色の瞳と均衡の取れたスタイルの美しい少女は宣言した。
『"ルキナ"…急に呼び出して、何を言うかと思えばそんな事?』
(相変わらず突拍子もないことを突然言ってくるわね…)
タカシへの言葉遣いと違うのは親密度の差がでているのだ。
この少女の名はルキナ・ヴァイス。
ノワルの友人である。
『…母上が良いって言った。だからやる。』
フンス!とやる気を見せるルキナ。
『あなたの実力ならすぐに上にいけるわ。でも、1人は危険ね。仲間を見つけるべきよ。』
(ルキナなら並程度のモンスターや盗賊とかには負けはしないでしょうけど、並以上なんていくらでもいる。)
冒険者の先輩としてアドバンスをした。
『…大丈夫。あて、ある。』
ルキナは胸を張って答えているが、ノワルは不安だった。
『それ、その辺の適当な人に声をかけるとかじゃないわよね?』
と一応、釘を刺しておく。
(世間知らずな面もあるから、不安なのよね…)
『…うん。ちゃんと知ってるし、信用もできる。』
ノワルが得意げに言うので、任せることにした。
冒険者は何があっても自己責任、そして弱肉強食だ。
友人だからこそ、しっかりと自分で考えて決めてほしいと思うノワル。
『そうなの?じゃあ良いんじゃない?これから会いに行くの?』
『…うん。だから、ノワル。一緒に冒険者やろう。』
ルキナはノワルを真っ直ぐに見て言った。
『へ?ちょ…ちょっと待って。その信用出来る相手って私のこと?』
突然のことに驚いた半分、信用してくれて嬉しい半分で、慌てるノワルにルキナは更に続ける。
『…私はノワルと一緒に冒険したい。』
『そうなの…でも実は私、男の奴隷を買ったの。今は別行動しているけど。』
と男の奴隷を買っていることを言うとルキナは特に驚きもしなかった。
『…知ってる。この前見た。…奴隷なら私も主人になればいい。…そうすれば私に危害を加えれない。』
『見てたのね…たしかに、主人になれば手を出せないわね…それにあなたなら強さも申し分ないし、性格も知ってるからその辺も問題はないわね。』
(この子は、強いのよね。私と互角以上だし。それに、変な奴に騙されるより、一緒にいた方が良いわね。この子人が良いというか純粋だし。)
『…うん。…使えるものは何でも使って生きろって私の母上が言ってた。』
彼女の母親とも面識があり、その様子を思い浮かべながらノワルはルキナを仲間に入れる事にした。
『あの方なら言いそうね。良いわ。一緒に冒険しましょう。奴隷には今度合流した時にあなたとの契約を、TANAKAの紹介所でしましょう。』
紹介所に行けば登録が出来るので、タカシとの対面はそこにする事にした。
『…うん。…良かった。…これからもよろしく。』
と嬉しそうに言った。
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