第10話 サーベルジャガー襲来
次の日、図鑑で見た薬草などを取りつつ進めるほどモンスターに遭遇しなかった。
そのため、予想よりも早くにフライングトマトの木がある所まできたのだが…
『トマトが食われてほとんど残っていない…どう言う事だ…』
何かに食い荒らされてしまっていた。
『この歯形は…牙が長い獣だな。』と見せてきたトマトには長い牙で齧った跡が残されていた。
そんなやつかこの辺には…と考えた矢先
ガサガサ!
『うお!?なんだ!?』
(林の奥から黒い前牙の長い4足歩行のモンスターが現れた!?)
『こ、こいつは!?サーベルジャガー!?』
サーベルジャガーとは牙が2本の大きく鋭く発達しているサーベルタイガーの亜種である。
『夜行性のはずなのに、何で昼下がりに!?』
『どういうことだ。』
『おお〜聞いていた通りに現れたな?』
ノワルが待ったました!とばかりに前へでた。
(こいつは位階4はあるって図鑑にもあったぞ!?)
『おい!?やめろ!勝てる相手じゃ…』
と慌てて止めに行こうとした瞬間
ノワルが剣を何もない場所から取り出した。
黒く細長く美しい剣が魔力を纏っていた。
(あれは…カタナとかいうやつか?初めて見た。)
を右手に持ちながこちらを見ず持ちながら呟き
『問題ない。"閃突5連"』
構えながら言った瞬間に彼女の姿が掻き消えた。
シュン!!!!
5匹が同時に吹き飛び木に叩きつけられて動かなくなった。
(ま、全く見えなかった…
"閃突"
刀スキルの中で"閃"とつくのは早さを重視したものだった。突は文字通り突きを行う技だったか?5連も打てる上にあの威力とあの速度か…本当に位階4か…?)
残心を解きながら刀をしまうノワルを見ながら底知れない主人の実力に慄いていた。
『ふう…これじゃあ依頼達成は無理ね。黒いのの素材を取って帰るぞ。』
『お、おう。』
倒れたサーベルジャガー達の額には刀を突き刺した跡が残っているだが…
間違いなく一撃で即死させたんだな…2つ上だと、本当に世界が違うんだな…
『サーベルジャガーは牙が最も価値のある素材なんだよな?毛皮もそうだが。』
解体しようか…困った…
猪とかと同じようにとりあえず、血抜きの為に首を切り落として、逆さにしてこう。
『これで良いか?猪とかと同じようにしてみた。』
ノワルは俺の方を見て頷いてくれた。
『そうだな。解体をギルドに頼むと手数料が取られからな。と…頭から牙を取るには、根本から折ればいい。』
バキ!
何の躊躇いもなく口に手を突っ込み折っている…
ええ…素手で折ったぞ…
『お前ではおそらく無理だな。私が折っておく。それと、道中で取っていた薬草を使って何か作れ。』
と俺が採取している物が何かを知っているような目で見てくる
『分かったよ。中位回復薬兼解毒剤を作ってやる。』
ふっふっふ。俺はこれでも調合スキル持ちだ。
取り出したのは回復薬の素材となるナオール草と解毒効果のあるドクヨワメの身をすり鉢ですり、水を足して完成だ。
『これで完成だ。』
え?どこでスキルを使ったって?
調合スキルは調合成功率が上がり、新しい調合を思いつきやすくなる。
ノワルは驚いて
『本当に出来るんだな。よし。』
出来た回復薬を飲み干してしまった。
ま、まあ良いけどさ…
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