第6話 知識は力

次に行くとすれば、トマトかゴブリンかビックアイになるだろう。

こいつらは初心者向けだと言われているが、なかなか手強い。トマトは飛ぶし、ゴブリンは知能が高いし、ビックアイは攻撃力が高い。舐めて挑むと確実に酷い目に遭う。

ちなみに、ゴブリンに近い種族に土小人(ホビット)である。ただし、ゴブリンは醜く身勝手であるが、土小人はダークエルフの小人という様な見た目の種族で、一緒にされると激しく怒る。

エルフに近い生活をしている。

同様に、オークに近い豚人、リザードマンに似た蜥蜴人などがある。

共通する特徴として、モンスターよりはるかに理性的かつ強大な力をもち見た目も高い位階の者ほど良い。

多くの国ではその様に区別がされており、権利も平等に与えられている。

なるほどな…実際ワイヴァーンに遭遇した上にそれを一撃で殺しうる存在がこの街にいると考えてるとしっかりと読んでおくべきだな…と考えを改め真剣に読む事にした。

そんな事をしているころ…


ノワルは次に行くクエストを物色していた。

フライングトマトかビックアイどちらにしようかと。

『トマトは今が旬だけど、その分捕まえるのが大変だしビックアイは群れると面倒なんだよな…うーむどうしようか。』



どちらも難易度としては同じくらいで、報酬額も同額である。

(久しぶりに刀を振りたいから、トマトにしよう。)

彼女はトマトにする事にした。

フライングトマト

空飛ぶトマトで自ら飛ぶ事で日光や水を得る。

実が熟し切ると落ちてその場に木を生やす。その木からトマトが飛び立っていく。


旬の時期には、栄養分が高まり動きがよりアグレッシブになる。


これは自分が狙われる事が多くなる事が分かっている彼らなりの生存手段である。

この時のトマトの価値は通常の3倍の価値があり、討伐に出かける者が絶えない。


しかし、この旬を迎えた飛ぶトマトはとにかく速いため、捕まえるのは容易ではない上に、実が引き締まっているためパワーも上がっており、鉄の武具を簡単に破壊する凄まじい突進力を持つ様になる。


でも、トマトは美味いしね。

と考え依頼書を受付に持っていくと

受付にいた馴染み受付嬢の狼人のニーナ

が依頼書の場所を見て、何やら難しい顔をしながら

『実はこの”テーバイ”の入り口付近でちょうどトマトの群生地の近くにはサーベルジャガーの出現情報が今さっき入ってきたの。』

テーバイ

この街から2日ほど歩いた場所にある山岳地帯である。

なるほど…本来は奥地にしか出現しないはずなのに何かが変だ。


サーベルジャガーは出た時にまた考える。


(昼間のうちに目撃地域をぬければ恐らく大丈夫だろう。)

と考え、準備を進めていると、ギルドの入口が騒がしくなってきた。

ザワザワしている方を見てみると


入口付近で誰かが揉めてる様だ。

『俺がこのワイヴァーンを倒したんです。嘘では、ありません』

細身の少年が柄の悪そうなスキンヘッドの男に絡まれている。

『お前みたいなガキがワイヴァーンを倒せるわけないだろ!!』

周りからも、そうだ!や帰れクソガキ!などの罵声が飛ぶ。

そこにはワイヴァーンの死体が運び込まれたところだった。

(あれは…私達がビックマウスを倒したあとに飛んでいたワイヴァーンだな。頭に矢のあとがある。)

その少年は細身であるが、引き締まった体つきをしており、服の上からでは分かり辛いが鍛えられた体をしていた。よく見ると髪の毛が黒に見えるが赤色である。いわゆる赤銅色であった。

(彼が噂の神童かな?)

わたしがそんな事を思っていると、柄の悪い男がついに

『テメェ!!このクソガキ!!』と殴りかかった。

スイッ流れるように体を逸らし、難なくかわしている。

『くそ!!なんであたらねえ!!』


と拳を更に振るうが全く掠りもしない。


『…』

と、少年が、少し様子を見せていると

『皆さん!これは何の騒ぎですか!!』と職員がとんできた。すると

柄の悪い男がその職員にくってかかる。

『このガキが、ワイヴァーンを倒したなんてホラ吹いてやがるからくぁwせdrftgyふじこlp』

職員は少年を見て一瞬疑うような眼差しを送っていた。

『俺は倒したワイヴァーンの買い取りを頼みに来ただけです。』と言いながら少年が何やらバッチの様な物を見せた。


剣と弓が重なって描かれたバッチだった。

すると職員が急に態度を変えた。

『そのバッチは!?』

と慌てた様子で聞いた。

少年があ!とバツが悪そうな顔をして


『そ、そうです。最初に名乗るべきでした…すみません』

と頭を下げた。


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