エッセンス・エッセイ「vol.8 砂上の都市と群像の嵐」
「砂上の都市と群像の嵐」
https://kakuyomu.jp/works/16816452219618540826
過去作である「異能家族と裏社会レジェンド」も、群像劇の色が少し出ていましたが、あっちは書いていたら『それっぽく』なってしまっただけであり、群像劇を書こうと思って書いたわけではありません。
そんな過去作とは違い、今作は最初から「群像劇を書こう!」と思って書いたものなので、当然ながら群像劇になっています(……なって、いるでしょう、きっと!)。
そして実験的に、時系列を意図的にバラバラにしています。
序盤はそれが分かりづらいかもしれませんが、中盤からは『場面が変わった段階で時間もずれている』というのが、徐々に判明していく仕組みになっています。
読んでいくと繋がっていく感じが、まさに群像劇という認識でしたので、見様見真似でも最低限の形は整えられているのではないか、と思っていますが、どうでしょう。
場面が切り替わった時に、『場所・時刻』を示すのがお約束なのかもしれませんが、それを取っ払ってみた、というだけの話ではありますが――
挑戦的と言える反面、自殺行為になっている可能性も否めません。
分かりやすさを排除しているので、はまれば爆発的な面白さが期待できると同時に、『そもそも訳が分からない』と言った結果になることもあるわけで……
群像劇は、書いている方は楽しいですけど、一歩でも踏み外すと読者はちんぷんかんぷんになってしまう危険もあります。
上手い人はそのへんのバランスが分かっているのでしょうけど……さすがに一朝一夕では身に付かないだろう技術だと思っています。
最近ではあまり採用しない群像劇ですが、何度か書いて難しいと自覚したからです。
自分のためだけに好き勝手に書いてもいいなら書きますが、人に見せる場に出すのであれば、やはり群像劇は採用しませんね――、
一冊の群像劇ではなく、シリーズで見せる群像劇なら歓迎ですけど。
(多くの未完作品を残しているのに群像劇はダメだ、と言うのはちょっとあれですけど……、読者に配慮するなら未完は残さないのが理想です)
そんなわけで、初の本格的な群像劇になります。
題材は「群像劇」、テーマは「過去の因縁」です。
舞台は砂漠のど真ん中、オアシスのように存在する街になります。
砂漠の都市……、これまで色々な国を書いてきましたが、意外なことに『~の国』系で言えばここが初かもしれませんね。
砂漠の都市――いま書くなら『砂漠』『都市』の部分も掘り下げたくなります。そして群像劇は取り外しますね……、メインのコンセプトがなくなってしまうので、それはリメイクと言えるのか? という問題も出てきてしまいますけど。
群像劇もいいですけど、やっぱりそれぞれのキャラを真っ直ぐに追っていくのが一番良いのかもしれません。
群像劇で取り扱ったそれぞれのキャラで一本の物語を書いて、それをシリーズとして積み重ねる? 規模は大きくなりますが、これもこれで群像劇となるでしょう。
……めちゃくちゃ文字数が膨らんでいくと思いますが。
というわけで、こんな感じです。
今回の短編集の「エッセンス・エッセイ」はここまで。
「vol.9」は次回の短編集になります。次はなんだろう?
……あとがきをvol.8まで書いてきましたが、こうなると過去のエッセイ「頭の中の設計図」で書いたあとがきも書き直したくなってきましたね……。
それともこの流れで、あらためて書いてみるのもいいかもしれませんね。
(過去のあとがきを確認せずに、新しくあとがきを書いて内容が一致していたら、作品の印象が変わっていないことになります。
変わっていたら……、やっぱり本編を読む時期によって、感じ方が変わった、という証明になりますからね)
同じものを書く。
だけど書いている側が年を重ねていれば、違うものが出来上がりますから。
その差異もまた、エンタメになりそうな気がします。
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