第81話 やっぱり流れるプールだ
ダンジョンのレベルが8になった。
新たに追加された機能は「トラップ設置Ⅱ」だ。
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トラップF(50)
トラップG(60)
トラップH(70)
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「増えたのは三種類か。ポイントもまだ余ってるし、早速作ってみるとしよう」
50ポイントを消費し、トラップFを作成する。
すると細長い水堀のようなものが出現した。
「何だ、これは? 養殖フィールドみたいなものか? いや……この壁や底の青々とした独特な色は、まるでアレ……しかも中の水が常に流れているような……まさか……」
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流れるプール(50)
トラップG(60)
トラップH(70)
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「やっぱり流れるプールだ!」
せっかくなので飛び込んでみると、外から見ているよりも流れが速い。
仰向けになってプカプカと浮いているだけでも、結構な速さで流されていく。
「端っこまで来てしまった。水の流れもここで途切れているみたいだな。見た感じ、水の吸い込み口もないし……どうやって流れを作り出しているんだ……? まぁ、ファンタジー世界だから気にしても仕方ないか」
この流れるプールを幾つか作り出し、アスレチックなどのある広い遊び場を取り囲むように設置。
さらに端と端を繋いで、途切れないようにした。
「これでぐるぐる回り続けることができるようになったぞ」
満足しながら流されていると、子供たちがやってきた。
「えっ! なんかすごいのができてるよ!」
いつも元気なリッカが流れるプールに気づいて叫んだ。
「お兄ちゃん、これは何っ?」
「流れるプールだ」
「プール?」
首を傾げるリッカ。
どうやらプールを知らないようだ。
「この世界には存在しないのかもしれないな……。簡単に言うと、安全な水遊び場のことだ」
「水遊び場……養殖場とは違うんですか?」
今度はシーナの質問だ。
「養殖場は泳ぐ場所じゃないから」
子供たちはたまに泳いで遊んでいるが。
そう考えると、彼女たちにとってプールは今さら目新しくもないのかもしれない。
「えっと……お魚のいない養殖場ってことですかね……?」
「魚がいないなら、つまらないわ」
「……あんたたち、あんな生臭いところでよく泳げるわよね」
ノエル、ミルカ、それにマインが言う。
「確かに魚はいないが、その代わりこのプールには流れがあるぞ!」
「流れ?」
「ほら、見てみろ。こうやってこの場に浮かんでいるだけで……」
「あっ、どんどん流されてく!」
「川みたい!」
「よく見たらぐるっと繋がってる。楽しそう」
「リッカも泳ぎたい!」
我先にとプールに飛び込んでくる子供たち。
「すごいよ! こんなに早く泳げる! まるで魚になったみたい! シーナちゃん、競争だ~~っ!」
「ちょっ、先にスタートするのはズルいですよっ!」
「逆向きに泳いでも流されていくわね」
流れに任せて泳ぎ出すリッカとシーナ。
一方、少し変わり者のミルカは一人で流れに逆らっている。
いるよね、こういう子。
「ノエルとマインも泳いだらどうだ? 魚がいないから生臭くないぞ」
「……ええと」
「あ、あたしは遠慮しておくわ!」
「何だ? もしかして二人とも泳げないのか?」
「じ、実はそうなんです……」
「あたしは別に泳げるけど!?」
どうやら二人とも泳げないらしい。
「泳げるって言ってるでしょ!? ただこいつらみたいに、こんなのではしゃぐほど子供じゃないってだけよ!」
「大人もはしゃいでるけどな?」
子供たちに交じってプールに飛び込んだのはシャルフィアだ。
「ミルカ様! 我らも競争しましょう! もちろんハンデを差し上げますから! 泳ぎには自信があるのです!」
「……わたしよりはしゃいでる」
ミルカに呆れられているほどである。
「あら、また水場が増えていますわ。でもなんだか不思議な色をしていますわね?」
「お、エミリア。ちょうど良いところに来たな」
元ダンジョンマスターのエミリアだ。
彼女が作っていたダンジョンは水棲系の魔物が多く、本人も水系の魔法を得意としている。
「二人に泳ぎを教えてやってくれないか? どうせ暇だろ」
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