第80話 職権乱用だ!
勝手にこのダンジョンへの移住を決めてしまったシャルフィア。
他のエルフたちから「ズルいぞ!」「職権乱用だ!」「俺たちも住みたい!」などというブーイングが巻き起こる。
というか、俺はまだ認めてないんだけどな?
俺の視線からそれを感じ取ったのか、
「ま、マルオ殿! どうか頼む! ミルカ様のためにも!」
「本音は?」
「(ここにいたら毎日美味しい料理が食べれる!)」
「心の中の声が丸聞こえなんだが?」
まぁ別に一人くらいいいけど。
「その代わり働いてもらうぞ」
「無論、ここでは貴殿のルールに従う!」
どこぞの役に立たない魔族たちのように、食って寝てぐうたらしてばかりだったら、エルフの里に追い返してやろう。
「あなりん、私もここに住む(そしてエルフ幼女とキャッキャウフフの日々を送る。よく見たら他の子たちもかわいい子ばかりデュフフフ)」
「一ノ瀬、お前はダメだ」
「なぜ!?」
「その涎を見れば何を考えているかお見通しだ」
こいつがいたら子供たちが危ない。
そんなわけで、シャルフィアがうちのダンジョンに住むことになったのだった。
「じゃあ、みんな。シャルフィアに部屋を掘ってあげてくれ」
「「「はい!」」」
スコップを掲げ、威勢のいい返事をする子供たち。
「部屋を掘る……?」
首を傾げるシャルフィアの前で、子供たちが壁を掘り始めた。
「ちょっ、ちょっと待て!? 本当に掘って部屋を作るつもりなのか!?」
「そうだが」
「そんなこと、ミルカ様にやらせるわけには……って、掘る速度がおかしくないか!? しかも掘った土が消えていってるように見えるのだが……」
ものの数秒で、すでに子供たちの個室の半分くらいの広さまで掘ってしまったのだ。
料理だけでなく、穴掘りもかなり上達してきたようである。
そうしてあっという間に部屋ができあがった。
大人が利用する部屋だからか、子供たちのものより少しだけ広くて天井も高い。
「入り口に玄関を設置」
「いきなり扉が現れたぞ!?」
「さらに寝室に」
「今度はベッドが出てきたのだが!?」
シャルフィアの反応に、子供たちが「私たちも最初はあんな感じでびっくりしたよね」と頷き合っている。
「ちなみにお風呂とトイレはこっちにあるから、好きに使ってくれ。……大人が一人増えたし、ついでに増やしておくか」
男性用と女性用が一つずつだったのだが、女性用のお風呂とトイレを二つした。
「こんなに簡単に……」
「便利だろ。これがダンジョンマスターの能力なんだ」
「そんなダンジョン聞いたことないのだが……畑や果樹園まであるし、どうなっているのだ……もはやダンジョンというより地下都市ではないか……」
「まぁトラップもダンジョンっぽくないやつだが、ちゃんと魔物も作れるぞ」
ところでクイーンタラントラを倒した際に、俺は大量のポイントを獲得している。
ダンジョン内に引き摺り落としてから戦ったのがよかったな。
そのポイントを消費して、実際に魔物を作り出してみせた。
壁や床から次々とモフモフの従魔たちが出現する。
「あのモフモフの魔物たちはこうやって生み出していたのか!?」
「そうだぞ。ただエルフの里で戦った連中は精鋭たちだから、ここから魔物強化を使わないといけないけどな」
魔物強化を使用し、従魔たちを強くすることに。
同時に進化が起こり、どんどん巨大化していく。
「里に侵入してきた魔物を倒してくれた魔物が、こんなに簡単に……どう考えてもこのダンジョン内の方が我が里よりも安全だな……」
ちなみに現在、従魔は合計で五百体くらいいる。
ダンジョンの各所で穴を掘ったり魔物を誘き寄せたり倒したりしていて、この拠点の近くにいるのは五十体ほどだ。
と、そんな感じでダンジョンポイントを使っていると。
『おめでとうございます! レベルアップしました! 新たな機能が追加されました』
レベルが8に上がったようだ。
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