第26話 スキルたくさんありますね!?

「ジョブにレベルがあることも知らないのですか……」


 美里に呆れられてしまう。

 だってジョブを鑑定してもらった後、すぐに王宮を出てしまったしな。


「となると、ステータスも見たことないようですね。ちなみにこれはステータスを測定するためのアイテムです」


 そう言って、美里が袋から取り出したのは、スマホくらいのサイズの石板のようなものだった。


「へえ、そんなものがあるのか」

「はい。勇者には漏れなく全員に配られているはずなんですけど」

「もちろん貰ってないぞ」


 どうやら貴重なアイテムらしく、さすがに外れ勇者に渡すほどの在庫はなかったのだろう。


「一度これでステータスを調べてみてください」


 しかし詳しく聞いてみると、ジョブのレベルというのは魔物を倒さないと上がらないらしい。


「じゃあまだレベル1じゃないか? 魔物なんて全然倒してないし……」


 なにせ先ほどリザードマンを倒したのが、ほぼ初めてのようなものなのだ。

 そう思いながら石板を手にすると、そこに文字が浮かび上がってきた。


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【穴掘士】レベル21

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「ん? これ、壊れてないか?」


 石板に表示されたレベルに、俺は首を傾げる。


「どういうことですか?」

「レベル21ってなってるんだが」

「「「21っ!?」」」


 天野たちが一斉に驚く。


「レベル21だって!? オレたちだってまだレベル15だぞ!?」

「いや、きっと誤表示だって」

「ちょっと貸してみてください。……いえ、壊れてませんよ。ちゃんと正しい数値が表示されています」


 美里が確かめたところ、どうやら壊れていないらしい。

 俺はもう一度、石版を手にしてみる。


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【穴掘士】レベル21

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「やっぱりレベル21だな。ええと、続きは……」


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HP:C

MP:E

力:B

耐久:C

敏捷:C

魔力:E

運:B

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「こ、このステータス評価は……っ?」

「【剣聖】のオレよりも高いぞ!?」

「そうなのか? じゃあ、本当にレベル21ってことか?」

「ですが、レベルで上回っているとはいえ、【穴掘士】が【剣聖】を凌駕するとは……もしかすると、スキルによる補正があるのかもしれません」


 さらに続きを見てみる。


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スキル:〈洞窟掘り〉〈土消し〉〈土硬化〉〈一心不乱〉〈夜目〉〈暗所耐性〉〈閉所耐性〉〈方向感覚〉〈穴戦士〉〈穴塞ぎ〉〈遠隔掘り〉〈体力馬鹿〉〈無手掘り〉〈地上感覚〉〈高速移動〉〈穴掘り隊長〉

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「スキルたくさんありますね!?」

「いつの間に覚えたんだ? ……そういえば、遠隔掘りとか、急にできるようになったっけ」

「きっと知らないうちに習得していたんですよ……詳しいスキルの説明も見てみましょう」


 どうやらスキルの性能についても確認できるらしい。


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〈洞窟掘り〉洞窟を掘る技術。土の硬さをほぼ無視して掘ることが可能。

〈土消し〉掘ったときに出る要らない土を消すことができる。

〈土硬化〉柔らかい土を硬くすることで、穴の強度を増すことが可能。

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「なるほど。土がどこかに行っちゃうのは、この〈土消し〉っていうスキルのお陰だったんだな。いちいち外に運び出さないで済むから便利なんだよ」


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〈穴戦士〉自分で掘った穴の中にいる限り、全ステータス大幅上昇。

〈高速移動〉自分で掘った穴の中にいる限り、移動速度が大幅上昇。

〈穴掘り隊長〉穴掘りを命じた者たちの、穴掘り能力を高める。

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「恐らくこれでしょう。この〈穴戦士〉というスキルの効果で、ステータスが上がっているのだと思います」

「だから外に出ると弱くなるんだろうな」


 そして俺の作り出した魔物たちが、やけに穴掘りが上手かったのは、この〈穴掘り隊長〉というスキルが影響しているようだ。


「普通、こんな短期間でここまでのスキルは習得できないですよ? 私もまだ七つしかスキルありませんし……」


 スキルというのは、ジョブに関連した特定の行動を繰り返し行ったりすることで、習得できるものらしい。

 俺はただひたすら穴を掘り続けていただけだったが、それが功を奏したらしく、色んなスキルを獲得していたようだ。


「スキルの方は分かったけど、レベルは何で上がったんだろうな? 魔物なんて、全然倒してないのに……」


 先ほどリザードマンを何体か倒しただけで、ここまで上がったとも考えにくい。

 とそこで、ハッとした。


「もしかして……アズが魔物を倒すと、経験値が俺にも入ってきている……?」

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