第21話 強者のオーラが出てる

『アンゴラージが進化し、ビッグアンゴラージになりました』


 どうやら強化と同時に上位種に進化したようだ。


 見た目は何も変わっていないが、とにかく大きい。

 高さが俺の胸辺りまであって、横幅に至ってはそれ以上だ。


「けど、動きは鈍くなってそうな気が……」

「ぷう!」

「え? そんなことないって?」

「ぷぅ~う!」


 次の瞬間、ビッグアンゴラージが地面を蹴ったかと思うと、凄まじい速度で走り出した。


「は、速い!」

「ぷぷぷぷぷううううううううっ!」

「しかも外壁を走っていく!?」


 進化したことで、俊敏性も大きく向上したようだった。


「わう~~~~~~んっ!」

「くるるるるっ!」


『ポメラハウンドが進化し、ポメラウルフになりました』

『エナガルーダが進化し、エルダーエナガルーダになりました』


 さらにポメラハウンドを強化すると、ポメラウルフに。

 そしてエナガルーダを強化すると、エルダーエナガルーダになった。


 ポメラウルフはウルフと言いつつ、見た目は単に大型になったポメラハウンドである。

 つまりは巨大なポメラニアンだ。

 それでも牙だけは狼らしくかなり鋭くなっていたので、攻撃力はありそうである。


 エルダーエナガルーダも、エナガルーダが巨大化しただけだった。

 ただ、一気にダチョウ並のサイズになって、俺が背中に乗って飛んだり走ったりできるようになった。


「ダンジョンが広くて移動が大変になってきたし、これで移動したら速そうだな」

「くるるるっ!」


 エルダーエナガルーダは、任せてくれ、とばかりに鳴いた。


「まぁ俺が自分で走った速いだろうけど」

「くるるっ!?」


『スモークトレントが進化し、エビルスモークトレントになりました』

『チンチライオンが進化し、チンチライオンジェネラルになりました』


 強化によってスモークトレントも進化し、背丈が三メートルを超える大きな樹木となった。

 そしてチンチライオンも、体長二メートルほどの立派なモフモフのライオンに。


「にゃあ」

「鳴き声はそのままなんだな」


 ちなみに強化に必要なポイントは、生成に必要なポイントの三倍だった。

 そして一度強化した魔物を、さらに強化することが可能らしく、


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 ビッグアンゴラージ強化(45)

 ポメラウルフ強化(90)

 エルダーエナガルーダ強化(135)

 エビルスモークトレント強化(180)

 チンチライオンジェネラル強化(270)

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 二度目の強化には、生成の九倍のポイントが必要なようだ。

 さすがにポイントが大きいので、ビッグアンゴラージだけ試してみることにした。


『ビッグアンゴラージを強化しました』


 しかし一度目と違って見た目の変化は見られない。


「どういうことだ? もう進化はしないのか?」

『さらなる上位種に進化させるには、合計三回の強化が必要になります』

「マジか。さすがにそこまでのポイントはないな」


 それでも強化した個体は、強化していない個体より、すべての能力が大幅に向上しているようだった。

 見た目では区別がつかないのだが、俺には何となく違いが分かる。


「ぷぅぷぅぷぅ!」


 強化ビッグアンゴラージが、強さを誇示するように力強く鳴く。


「……あたしには全然分からないんだけど?」

「オーラが違うんだ」

「オーラ?」

「ああ。強者のオーラが出てる」

「ほんとかしら……?」


 さらにフィールド変更の「フィールドB」を確かめてみた。


「ダンジョンの中に木が生えてきたぞ?」

「きっと森林系のフィールドね! 魔物を草木の陰に潜ませて、侵入者を急襲したりできるじゃない!」

「その割には樹木が疎らな気がするが……あ、『果樹フィールド』って書いてるな」


 どうやらこの木々は果樹らしい。


「つまり果物ができるってことだな」

「また要らないやつじゃないの!」

「いやいや、果物は美味しいだろ」


 しかもこのまま放置しておけば、勝手に実がなるようだ。

 どんな果物ができるかは畑の作物と同様、ランダムらしい。

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