Dua Lipa, DaBaby - Levitating
皆さんこんにちは。今回は、イギリス・ロンドン出身、メゾソプラノのボーカルレンジと懐古的なディスコ風のプロダクションを特徴とする、世代を超えた新生ポップスター・Dua Lipaによる2020年の2ndアルバム『Future Nostalgia』からシングルカットされ、アメリカの実力派ラッパー・DaBabyを迎えてリミックスされたヒット曲『Levitating』をお届けします!
アルバニア系コソボ人の両親のもと生まれ育ったDua Lipaは、コソボのOdaというロックバンドでギターを弾いていた父の影響で、5歳から音楽の道に進むこととなります。2008年のコソボ独立宣言後、家族と共に首都(と定められる)プリシュティナへ移り住んだ彼女はアルバニア語を学ぶ傍ら、自身のアーティストとしてのキャリアを真剣に考えるように。15歳でロンドンに戻ると、学校に通いながらも、SoundCloudやYouTubeといった主要プラットフォームに自作の楽曲をアップロードし、Alicia Keysの『If I Ain't Got You』やChristina Aguileraの『Beautiful』などのカバーも投稿しました。
2013年、地元のカクテルバーでウェイトレスとして働きながら、その恵まれた美貌を生かし、英・ファストファッションブランドのTOPSHOPでモデルとしても活動していたDua Lipaにチャンスが訪れたのも丁度この時期でした。後にUKアーティスト&マネージャー賞で2017年のマネージャー・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝くこととなる、Ben MawsonとEd Millettが設立したマネジメント会社・Tap Managementに発掘され、仕事を辞め、作曲活動に専念できるようにと相応の報酬を約束した同社の在籍時に生まれたのが『Hotter than Hell』だったのです。
結果的に、これがきっかけとなりDua Lipaは2014年、米大手レーベル・Warner Recordsとの契約を勝ち取りました。当時、Warner Recordsにはレーベルの顔を務められるだけの有力な女性ポップ・アーティストがおらず、この契約はまさに相思相愛の様相となり、両者共に将来に向けたビジョンは明確でした。翌年8月に『New Love』を、10月に『Be the One』をリリースすれば、たちまちヨーロッパ全体にDua Lipa旋風を巻き起こします。後者はベルギー、ポーランド、スロバキアで1位を獲得したほか、11以上の欧州地域でトップ10へチャートイン。メインストリームにおけるキャリア1年目としてはこの上ないほどの成績で以て、世界中の音楽ファンを虜にしてみせます!
2016年には国内外で初ツアー、2017年にデビュー・アルバム『Dua Lipa』から『New Rules』が自身初、そしてAdele(第49回参照)の『Hello(2015)』以来となる女性ソロアーティストによる全英首位を獲得。2022年には米・The Fader誌の依頼を受けてドキュメンタリー映画『See in Blue』が制作されるなど、公私共に注目を集めるDua Lipaによるファン待望の2ndアルバム『Future Nostalgia』は、Spotify上で2020年に最もストリーミングされた女性によるアルバム(全体では5番目)だったことからも、凄まじい期待感が垣間見えますね……!
その収録曲の中でも、今回紹介する『Levitating』は、アメリカの歌姫・Madonnaと女性ラッパー・Missy Elliottをフィーチャーしたバージョンが、アメリカ人DJ・The Blessed Madonnaのリミックス・アルバム『Club Future Nostalgia』からリリースされていました。錚々たる面々によりアレンジが加えられたこのバージョンは原曲よりも少しテンポを速め、トランス感のあるメロディーラインに、70~90年代のディスコ・サウンドやR&Bを彷彿とさせる要素を原曲通りに再現していて僕も好きです。しかし、このリミックス、ひいては原曲をも凌ぐほどにヒットしたのが、アメリカのラッパー・DaBabyことJonathan Lyndale Kirkが参加したバージョンなのです!
2014年より本格的に活動を開始したDua Lipaとほぼ同時期に大学を中退し、アーティストとして作曲活動に勤しんできたDaBabyは当初、Baby Jesus名義で多数のミックステープをリリース。そのような中で、DaBabyがブレイクのきっかけを掴んだのは、Yo GottiやFutureといったアメリカ南部におけるラップ・スターの発掘に携わっていた大手ラジオ・プロモーターである米・South Coast Music Group社長、Arnold Taylorとの邂逅でした。彼との契約を通じて、2018年後半にDaBabyの名を轟かせる契機となった『Blank Blank』のリリースに向け、アメリカで最も偉大なラッパーのひとりであるJay-Zの設立する総合エンタテインメントエージェンシー・Roc Nationと短期契約を結び、Arnold Taylorによる助言を受けながら、メジャー・レーベルの入札合戦を経て、最終的にDaBabyは米・Interscope Recordsとの契約を果たします。
2019年、デビュー・アルバム『Baby on Baby』がInterscope RecordsとSouth Coast Music Groupのジョイント・ベンチャーでリリースされると、米・Billboardアルバムチャートにて初登場25位を記録します。リードシングル『Suge』は、2020年の第62回グラミー賞で最優秀ラップ・パフォーマンス賞と最優秀ラップ・ソング賞の2部門にノミネートされるなど批評家の間でも認められる存在に。同年6月、Jack Harlowの『Whats Poppin』のリミックスに出演すると、これがBillboard Hot 100で2位を獲得しますが、当時、首位の座はDaBabyがRoddy Ricchをフィーチャーした『Rockstar』が7週連続でキープしていたので、2019年のAriana Grande以来、同一チャートにおけるトップ2までを占める20組目のアーティストとしてアメリカの音楽産業に名を刻みました……!
Dua LipaとDaBaby──両者共にまだ表舞台におけるキャリアは10年に満たないにもかかわらず、ここで紹介し切れなかったストーリーも含め、凄まじい功績を現在進行形で次々と打ち立てている天性の才覚の持ち主であることはご理解頂けたかと思います。そんな不世出のポップアイコンとラップスターによる異色のコラボを、どうぞお楽しみくださいませ。
[Intro: DaBaby(0:00~)]
「よおビルボード、Dua Lipaがお前たちを躍らせるためにやってきたぞ」
「皆が羽目を外せるダンスフロアを探してたんだろ」
[Verse 1: Dua Lipa(0:05~)]
「私と一緒に逃げ出したいなら、銀河の果てまで」
「ドライブに連れていってあげる」
「リズムに乗れる予感がしたの」
「音楽の鳴り止まない場所で」
「キラキラと輝く空が、私の瞳に反射して」
「とっても素敵じゃない」
「もしも人肌恋しい気持ちになっているなら」
「貴方は運が良かったわね」
[Pre-Chorus: Dua Lipa(0:24~)]
「貴方は私を、私は貴方を欲してる」
「運命の人、舞い上がってしまいそう」
「天の川まで、何を犠牲にしたっていい」
[Chorus: Dua Lipa(0:33~)]
「分かってる、貴方は月明かり、私にとっての星明り」
「一晩中でも貴方が欲しい、さあ、一緒に踊りましょう」
「心地良い浮遊感よ」
「貴方はまるで、月の光、私だけを照らす星(貴方は月の光)」
「一晩中でも貴方が欲しい、さあ、一緒に踊りましょう」
「さながら無重力ね」
若者が集うダンスフロアにおける出会いと衝動的な恋模様を描いた、歌いやすくて踊りやすい良曲ですね。歌詞の内容は、恋に落ちる瞬間の浮遊感を宇宙空間における無重力に例えて「銀河」「天の川」「月光」「星明り」といった単語によって、男女の一晩の逢瀬を表現しているものかと思われます。うーん、ロマンチックですねえ……。
[Verse 2: DaBaby(0:52~)]
「俺は最高のラッパーのひとり、異論はないだろ」
「まだ浮遊感に取り残されてる、どっぷり薬漬けにされてるみたいだ」
「皮肉にも俺が愛してきた奴等は結局俺を憎んだよ」
「彼女は俺に辛抱強く愛を囁いた」
「俺も愛する者のため懸命に戦ってきたがそろそろ我慢の限界だぜ」
「抱き締めてほしいだけだった、基本に立ち返ってみたんだ」
「お前に振り回された結果俺がどうなったか分かるだろ?」
「まんまと惑わされちまった訳だが、もう俺を邪魔する者はいねえ」
「さあ行こう」
「左足、右足と離せば、浮遊感」
「ポップスター、Dua Lipaとこの俺DaBaby」
「追い求めてた幸せを掴むためには靴ひもを結ぶ時間が必要だっただけだ」
「万一転んでも、何もしないよりマシなはずだ」
「遅れを取り戻すために、ばっちりキメようぜ」
「逆境を跳ね除けて金でも稼ぐんだ」
「奴等はいつもお前が転げようが見向きもしないが、そんな時は俺がついてる」
「世界中の期待が肩に圧し掛かろうが、俺は決して頭を下げないぜ」
「さあベイビー、立ち上がれ」
「だってお前は」
[Pre-Chorus: Dua Lipa & DaBaby(1:29~)]
繰り返し
[Chorus: Dua Lipa(1:38~)]
繰り返し
[Post-Chorus: Dua Lipa(1:57~)]
「今宵は私と飛び立ちましょう」(×2)
「ベイビー、ドライブに連れていってあげる」
「宙に浮いているみたい」
「今宵は私と飛び立ちましょう」(×2)
「ベイビー、ドライブに連れていってあげる」
[Bridge: Dua Lipa(2:15~)]
「私の愛はまるでロケット、届けてみせるから見ていてね」(×2)
「最高に刺激的なんだから、心ゆくまで踊り続けるの」(×2)
「止まりたくたって、今更止まれないわ」(×2)
[Pre-Chorus: Dua Lipa(2:34~)]
繰り返し
[Chorus: Dua Lipa & DaBaby(2:43~)]
繰り返し
[Post-Chorus: Dua Lipa(2:53~)]
繰り返し
[Chorus: Dua Lipa(3:11~)]
繰り返し
楽しくて陽気でありながら、どこかスマートに感じられる歌詞──それが『Levitating』のコンセプトであると、Dua Lipaは語りました。誰かとの出会いを楽しんで、突発的に恋に落ちて、勢いのままに踊りあかそうという衝動をテーマに、宙に浮いているような錯覚に陥る時の陶酔的な気分を歌ったものだそうです。 単純明快な内容ですので、特に僕が口を挟むような余地はなさそうですね……。
それでは、今回もこの辺でぼちぼちお開きとしましょう。最近は中々コンスタントに更新できていない日々が続いていますが、できるだけ頑張ってペースを上げていく所存ですので、次回もよろしくお願いします!
†††
※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はDua Lipa, DaBaby - Levitatingから引用しております。
※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。
※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。
※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。
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