【番外編】邦楽好きとも繋がりたい - 5

 さてさて、やって参りました第5回目の番外編です。振り返ってみると、本編第51~60回は有名アーティストが目白押しでしたね! 既にご存じだったという方も、そうでなかった方も、お気に入りのアーティストは見つかりましたでしょうか……!?


 とはいえ、ありがたいことに拙作『洋楽好きと繋がりたい【短編集】』をご愛顧頂いている読者様の中には、邦楽アーティストを取り扱っているこの番外編こそを楽しみにしてくださっているという方もいらっしゃるようで、このような形で続けてきて良かったなあと感じている、今日この頃でございます。


 勿論、勝手に他者の著作物である楽曲の歌詞を和訳していこうという作品の性質上、偉大なるアーティストの方々の功績に泥を塗る訳にはいかないと、細心の注意を払って(?)各話書き上げているので、全話欠かさずご覧になってくださっている読者様には頭が上がりません。ですが、本作は短編集なので「お、このアーティスト知ってる!」とか「このアーティストは知らないけど、響きが好きかも!」とか、直感的にビビっとくるものを掻い摘んで御覧になって頂くだけでも十分に楽しめると思います。今更のアナウンスで恐縮ですが、今後とも拙作をよろしくお願いします。


 場が白けていることにも気付かず、長々と細かい前口上を垂れてしまうのは、僕の悪いクセ──などと、どこぞの天才変人刑事が言っていそうな台詞を真似してみたところで、今日のラインナップはこちらです……!


1.the engy

2.toconoma

3.Mr.Children


 ──あれ? 『【番外編】邦楽好きとも繋がりたい - 5』という題を見てこのページを開いたはずなのに、3組ともアルファベットなんですけど……。


 そう思われた方、慌てないでください。こちらは全て我が国が誇る4ピース・バンドにございますよ! さて、いつも通り順を追って紹介していきましょう。


 1組目に挙げさせて頂いたのは、2014年秋に同志社大学の軽音サークルで出会った山路洸至(Gt., Vo.)と濱田周作(Ba.)により結成され、2017年春に境井祐人(Dr.)と藤田恭輔(Gt., Cho.)を加え現体制となった京都発のロック・バンド──the engyです!


 彼らは、僕も何処で聴いたのかいまいち覚えていないくらい、ごく自然と僕のプレイリストの仲間入りを果たしていた謎の集団です(笑)。正直知っていることはほとんどなく、2017年5月に自主制作盤の1stEp『the engy』をリリースして活動を開始した後、2019年6月にはシングル『Touch me』でApple Musicの「今週のNEW ARTIST」なるものに選出。日本コロムビアやポリドール(現ユニバーサル・ミュージック・ジャパン)に次ぐ歴史を有する日本の大手レコード会社・ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューを果たすと、2023年1月1日には自主レーベル「エビバデレコーズ」を設立するなど、大器の片鱗を覗かせていますね……。


 そんな今後に期待が掛かるthe engyの楽曲から僕が今日の気分でおすすめするのは、2017年のLP盤に収録されている『She makes me wonder』です。Red Hot Chili PeppersやLinkin Parkを好んで聴いたという山路洸至による、ソウル、R&B、ヒップホップといったブラック・ミュージックに強い影響を受けた楽曲は何処か日本離れしていて、とても素敵で美しい旋律に思わずうっとりしてしまいます。是非、ご鑑賞くださ──え? 全部英語じゃないかって……?


 そうなんです。the engy最大の特徴は、作詞作曲を務める傍ら、塾講師として小・中学生に英語を教えているフロントマン・山路洸至の堪能な語学力と豊富な語彙力から繰り出される英語の歌詞(日本語の歌詞もあります)なのです。──あぁ! 「日本語」の邦楽を聴きにきた皆様! 期待を裏切るのはこれが最初で最後(多分)なので、どうかもう少しだけお付き合いを……!


 僕も数年前まで、塾講師や家庭教師として、恥ずかしながら小・中・高校生に英語を教えていましたね。とはいえ、ただのしがないアルバイトですが。その頃はコロナウイルスの影響も相俟って、オンライン授業の実施や感染対策の徹底など求められていたため仕事量も多く、中々にタフだった記憶が今も鮮明に残っています。そのような中、バンドのフロントマンとして作詞作曲を担うという二足の草鞋わらじを履きこなしている山路洸至には、個人的に畏敬の念を抱いております。


 ちなみに、バンド名・the engy(エンギー)の由来はの良い感じがするからだとか。洋楽への造詣の深さと音楽全般に対する拘り深さを感じさせるサウンドとは裏腹に、意外と短絡的で日本人らしい一面もあるようですね(笑)。


 はい、続く2組目に挙げさせて頂いたのは、2008年に東京で結成されたインストゥルメンタル・ジャムバンド──toconomaです。「おいおい、英語歌詞の次はインストゥルメンタルだあ!? 今日はもう解散!」なんて言わないでくださいね……。罷り間違っても、本編で歌詞のない楽曲を紹介する訳にはいかないので、番外編でしか紹介する場がないのです。


 冗談はさて置き、メロディック・ハードコアにルーツを持つ西川隆太郎(Pf.)、矢向怜(Ba.)、清水郁哉(Dr.)、石橋光太郎(Gt.)の4人による演奏スタイルは、ダンスミュージックを基調としつつも、ロック、ジャズ、ファンク、ラテン、ハウス、テクノ、フュージョンなど多種多様なジャンルに影響されており、メンバー曰く「流通の事情でジャズに分類されるが、作曲に当たって曲のジャンルは一切考えておらず、自分たちもよく分からないので聴く人が決めれば良い」という自由な発想の持ち主。僕のようなにわかファンにとっては、この上なく取っつきやすいので有難いお言葉です(笑)。


 そんなメンバーたちですが、平日はフルタイム勤務の社会人で、土日に集まってライブ活動や練習に勤しむという、これまた二足の草鞋の持ち主で、彼らが「週末バンド」と称される所以でもあります。


 そんなtoconomaの楽曲から僕が今日の気分でおすすめするのは、2013年の1stアルバム『POOL』から『seesaw』です。その哀愁漂う叙情的メロディーは、ドライブや作業用BGMとしても打って付け。しかし、当該楽曲はギター・石橋光太郎の片想いが終わった時に作曲されたという実体験が反映されたリアルな失恋ソングでもあり、そうした背景事情込みで聴いてみると、より一層味わい深くもある珠玉の作品です。とはいえ、先述している通りtoconomaの音楽性は無限大です。もし気に入って頂けましたら、是非他の楽曲もどうぞ……!


 最後の3組目に挙げさせて頂いたのは、1989年に結成された東京出身のロックバンド・Mr.Childrenです。桜井和寿(Gt., Vo.)、田原健一(Gt.)、中川敬輔(Ba.)、鈴木英哉(Dr.)の4人で構成されているバンドは、1985年に関東高等学校(現・聖徳学園高等学校)の軽音部に所属していた桜井和寿と中川敬輔が発起人で、そのうち前者が野球部から軽音部に勧誘した田原健一、その他2名による5人組・Beatnikが前身です。1987年には、THE WALLSと改名するも、現体制への転換を機に1989年に再度改名──以後、メジャーデビューへと向けた本格的な活動が開始します。


 どうでも良い私事で恐縮ですが、僕は桜井和寿の息子にして、インナージャーニーというバンドでドラマーを務める傍ら、俳優業も営んでいるマルチタレント・櫻井海音と同じ高校の出身にして同級生です(笑)。あ、そうです。同高校ではサッカー日本代表・久保建英選手や、同級生ではありませんが現在話題沸騰中の女優・広○○子の長男とも面識があります。マジでどうでも良いですね……。


 日本人であれば一度は耳にしたことがあろうMr.Childrenですから、特に語ることもありませんが、さらっと説明を加えますと、1992年のアルバム『EVERYTHING』でメジャー・デビューを飾ると、4thシングル『CROSS ROAD』がロングセラーとなって本格ブレイク。1994年の5thシングル『innocent world』はバンドとして初のオリコン・チャート1位に輝き、同年の6thシングル『Tomorrow never knows』はミリオンヒット──稀代のヒットメーカーとして、確固たる地位を築き上げました。


 Mr.Childrenというバンド名の由来は、必ず頭に"The"が付く海外バンドへの反骨精神に加え、"Mr."と"Children"という相反する言葉を組み合わせることで「形に拘らない」楽曲を老若男女問わず広く遍く世の人々に届けたいという思いから、イギリスのバンド・The Railway Childrenなどにインスピレーションを得て決めたそう。──いや、結局"The"から始まるバンドに影響されてるんですね(笑)。


 そんなMr.Childrenの楽曲から僕が今日の気分でおすすめするのは、2008年の名シングル『HANABI』です。わざわざ僕からおすすめされるまでもないくらい、誰もが良く知る名曲中の名曲ですが、仕方ないのです。僕がカラオケで邦楽を歌って90点台を出せる数少ない十八番のひとつですし、Mr.Childrenの代名詞といっても過言ではない最高の1曲なのですから。


 さてと、晴れて第5回目を迎えることができました番外編もこれにて終了です。ご満足頂けましたでしょうか。ちなみに、邦楽アーティストについても読者様のリクエストは喜んで受け付けております! ただ、紹介するのは番外編限定ですので当分先になることだけ、ご承知おきくださいませ。


 それでは……!



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回は何も引用しておりません。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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