Manntra - Slave

 他作品の執筆活動にかまけてしまい、大変長らくお待たせしてしまいました。本日も気合を入れて洋楽紹介をやっていきたいと思いますよー!


 カクヨムで活動している他の執筆者の方にお伺いしたいのですが、予約投稿機能って、やはり活用した方が良いのでしょうか。僕のような新参者の素人は「作品が完成したなら一刻も早く公開すればその分だけ見てもらえるチャンスが増えるじゃん」と思ってしまうのですが、やはりアクセス数が増える時間などを分析して、所謂ゴールデンタイムに照準を合わせて投稿する方が新規読者の獲得にも寄与しやすいのかもしれません。


 「ええい、そんな些末事などどうでも良いわ!」という精神で深夜帯にお届けする今回も、嬉しいことにリクエストを頂きました。リクエスト主様からのお便り(コメント)によると、アイスランドを代表するバンドであるSigur RósやOf Monsters and Menのような「自然の雄大さを感じさせてくれるバンド」をご所望とのことです。──むむむ。これまた難しいお題ですが、あくまでも僕のチョイスに任せて頂けるという、執筆者冥利に尽きる嬉しいリクエストですね。


 ──まずは本題に入る前に、例示して頂いた2つのバンドについて思い入れを語ってもよろしいでしょうか……。


 皆さんは俗にNightcoreと呼ばれる音楽ジャンル(?)をご存じでしょうか。Nightcore──それは2002年にノルウェー出身の学生であるThomas NilsenとSteffen Søderholmの2人が、通っていた学校の課題を制作するため結成したというDJタッグの名前が発祥と言われていて、原曲のテンポ・ピッチを上げてリミックスすることを大きな特徴としています。僕はこのNightcoreによってリミックスされたOf Monsters and Menの『Little Talks』やSigur Rósの『Hoppípolla』といった珠玉の名曲を聴いて、どっぷりとハマった時期があります。


 ──懐かしいなぁ。その後、Nightcoreがきっかけで1990年代後半の英・ロンドンを起源とすると言われるダブステップ系の音楽を聴くようになって、同じく90年代のブリットポップ・ムーブメントを牽引したOasisなどのロックバンドに魅了され、今のである僕が生まれたという訳です。つまり、僕の音楽好きとしてのルーツはリクエスト主様が挙げてくださった2つのバンドにあると言っても過言ではない……!?


 話が大幅に脱線しましたね。この話は本来、第50作目を迎えた後の特別編にて語る予定だったのですが、思わず筆が滑ってしまいました。そんなこんなで、今回自信を持って僕がお勧めする「自然派バンド」はクロアチア発のロックバンド・Manntraから、取り出したるは名曲『Slave』!!


 それではバンドの紹介から。2011年に結成されたManntraは、同国のインダストリアル・メタルバンドOmega Lithiumの解散を契機に、そのメンバーだったMarko Matijević SekulとZoltan Lečeiの2人を盟主として、Omega Lithium時代に1年間しか加入していなかったドラマー・Andrea Kertを呼び戻したことで発足されました。


 ソペレ(sopele)、タンブリカ(tamburica)、ディプル(diple)などといった伝統的な楽器を用いたバルカン民族音楽とヘビーメタルの要素に加え、電子音楽を融合させたサウンドが特徴の1つに挙げられていて、自然崇拝的な精神性や神話をテーマにした独特な歌詞が多く見受けられ、クロアチアの民話や歴史的背景を反映したものであると言われていますが、正直に申し上げて僕はクロアチアの地域事情には明るくないので、自信を持って断言はできません……。ただ1つ自信を持って言えるのは、Manntraはロシア、ドイツ、オーストリアなど諸外国においても多大なる支持を受けている人気バンドだということです!


 そんな大人気バンドから紹介したいと思い選ばせて頂いた『Slave』は、2021年にリリースされたアルバム『Monster Mind Consuming』に収録された1曲で、同アルバムは「戦争」や「人間の葛藤」をテーマとしたコンセプトアルバムであるとのこと。そんなアルバムから「奴隷」を意味する『Slave』という楽曲名──一体どういう意味なのか、おどろおどろしい雰囲気にかえって血沸き肉躍るのは僕だけでしょうか……!


 ──長ったらしい前口上はうんざりだ! もう辛抱堪らんぞ!


 そう思われた方、お待たせしました! いよいよメインの歌詞紹介へと行ってみましょう! クロアチアについて良く知る人もそうでない人も、欧州の雄大な自然に想いを馳せて是非とも歌詞に感情移入しながらその意味を一緒に紐解いていければと思います。


[Verse1(0:22~)]

「永遠の闇よ」

「地獄の業火に焼かれた肉の味よ」

「そこに正義はない」

「己の刃を研いだところで身をやつすだけ」

「呼び声だ」

「明かりが消えたら歯軋りするんだ」

「飢えていたんだ」

「そしてお前の遺産を探していた」


[Pre-Chorus(0:39~)]

「私の墓の前に横たわりなさい」


[Chorus(0:43~)]

「奴隷のように仕えるがよい」

「貴様は私の餌食になるのだ」

「逃がす訳もなかろう」

「狩りをするのは夜に限る」

「貴様は生きたまま踊り食いだ」

「光を思い出せ」

「リメンバー・ザ・ライト」

「光を覚えている」


 ──先に言っておいても良いですか……? 歌詞の内容の意味が、僕には分かりません……。


 「じゃあ何でこの曲を紹介しようとしたんだよ」と言われてしまいそうですが、こんなに格好良いんです。仕方ないじゃないですか!──なんて逆ギレしてみたり。中世ヨーロッパの広大な平野を白馬に乗って駆け抜けるような、そんな自然豊かな風景を彷彿とさせる野性味のあるボーカルに伝統楽器によって奏でられるサウンドは、何処かGame of Thronesのような雰囲気を感じさせられます(共感してもらえますかね……)。


 無理を承知で、あくまで個人的な歌詞の解釈に挑戦しようと思います。察するに、主人公は何か超常的な人間の枠を超えた神のような存在のようですね。クロアチアにおいては何か独自の神話が存在するのかどうか分かりかねますが、ギリシャ神話における冥府の支配者・ハーデス──日本風に言うところの閻魔大王様のような存在であると考察します。


 先述した通り、当該楽曲が収録されているアルバム『Monster Mind Consuming』は「戦争」がテーマということで、人々の醜い争いによって生じる所謂「エコサイド」に起因するような環境破壊の罪深さを暗示していて「そこに正義はない」と言っているのかな。「己の刃を研いだところで身をやつすだけ」というのは、世界中で行われている軍拡競争は身を滅ぼすのだということ、「飢えていた」「お前の遺産を探していた」というのは、戦時下の飢餓によって墓荒らしをするほどに食べ物に飢える人々の様子を表しているのかもしれません。サビのフレーズは、そんな非道な戦争に加担した人々は必ず残酷な運命を辿ることになるというメタファーでしょうか。


 センシティブな話題ですし、軽々しい気持ちで間違った解釈をしては拙いので、この辺にして次に行きます!


[Verse2(1:00~)]

「這いつくばれ」

「壁を引っ掻く音に」

「私の咆哮」

「貴様の純心を奪ってやろう」

「完全無欠だ」

「錆びたステンレス」

「私は飢えているんだ」

「より鋭い刃を求めてな」


[Pre-Chorus(1:15~)]

「私の墓の前に横たわりなさい」(×2)


[Chorus(1:23~)]

繰り返し


[Pre-Chorus(2:11~)]

繰り返し


[Chorus(2:19~)]

繰り返し


 2番に入って、一層混沌とした雰囲気を醸し出してきましたね。「壁を引っ掻く音」に「咆哮」と、「純心を奪う」ですか。まさかとは思いますが、誰かがどこかに閉じ込められている様子が描写されていたり……。折角さっきまで颯爽と野原を駆け巡っていたのに、僕たちの自然を返してくださいよ!


 とまあ、歌詞の翻訳自体は以上になります。僕の解釈についても、概ね間違っていないのかなぁと思ったり思わなかったり。戦争という重たいテーマは今や非常にタイムリーな話題となっておりますから、あまり軽薄な心持ちで適当なことは言えないので、失言をする前に今日はこの辺でお開きに致しましょう。お付き合い頂き、ありがとうございましたー!


 リクエストについても、重ねてお礼申し上げます。とはいえ、このままだと僕の存在意義がなくなってしまうので、次回はここまで温めておいた僕自身の大好きなアーティストから1曲、満を持して紹介しちゃおうかなと思いますね。お楽しみにー。


 それでは……!



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はManntra - Slaveから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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