Electric Light Orchestra - Mr. Blue Sky

 皆さん、お待たせいたしました! 記念すべき第40回目となる今回ご紹介するのは、1965年に結成された英・バーミンガム出身ロックバンドであるThe Moveの後身に当たるプログレッシブ・ロックバンド──Electric Light Orchestraから『Mr. Blue Sky』でございます!


 では、どうして第40回目の節目にElectric Light Orchestraを紹介するのか──。


 その答えにピンときた方は、中々の情報通でございますね。何を隠そうElectric Light Orchestraといえば、1972~86年代にかけてUKシングルチャートにて27曲もの楽曲をトップ40にランクインさせた偉業で知られています。そして、一度も首位の栄光を味わうことがないまま、米国史上最も多くBillboardのトップ40に楽曲がランクインしたバンドとして、ギネス記録を獲得したこともあります(現在も維持されているのかは分かりません)。


 そんな"40"という数字に深い因縁(?)のあるElectric Light Orchestraから是非ご紹介したいと思ったのは、またしてもベタな選曲になりますが1977年リリースの7thアルバム『Out Of The Blue』に収録された名曲『Mr. Blue Sky』でございます。日本でもCMの挿入歌などで採用されまくっているので、誰もが一度は聞いたことのあるほど知名度の高い楽曲かと思います。余談ですが、当該アルバムのチャート最高順位は英米共に4位で、なおかつ、売上枚数は推定400万枚にも上るそうです。──いや、"4"という数字にどれだけ縁があるんですか……!?


 『Mr. Blue Sky』は、熱狂的なThe Beatlesファンであるバンドリーダー・Jeffrey Lynneがスランプに陥ってスイスで山籠もりしていた際に、アルプスから覗く太陽の輝きの美しさからインスピレーションを得て制作されたといいます。ストリングス楽器を取り入れたバンドの伝統的なクラシック音楽の要素と、Jeffreyの独自の解釈がなされた"Beatlesque"と称されるThe Beatles風のアレンジが加えられたロックに、シンセサウンドを多用したポップが融合したメロディーが素晴らしく、重くボコーデッドされた歌声と消化器を叩いて鳴らされているカンカンといった効果音が小気味良い最高の一曲です!


 細かいことはこの際どうでも良いですね。百聞は一聴に如かず。歌詞紹介に入って行くことにしましょう。晴れ渡る爽やかな日であっても、冴えない曇り空に気が滅入る日であっても、心の中に蒼く染まった大空を思い浮かべて美しく壮大なメロディーに身を委ねてください……!


[Intro(0:00~)]

「おはようございます! 今日は青空が広がる晴れ模様です!」


 ──何だこのイントロ! やけに聞き覚えがあるぞ!


 そう思われた方、このイントロは英ロックバンド・The Kinksの1968年の曲『Do You Remember Walter』から、アレンジされたものです。


[Verse1(0:14~)]

「空には輝く太陽が」

「雲ひとつない景色が広がる」

「雨も上がって、皆楽しそうだね」

「知ってるでしょ」

「最高の一日が始まるんだって、ねぇ」


「大通りを駆け抜けて」

燦燦さんさんと照りつける太陽の顔を見てごらんよ」

「街の中、かつては通りも寂れてたけど」

「今日はがやってきたよ、ねぇ」


[Chorus(0:48~)]

「青空さん、何故なのか教えてよ」(×2)

「貴方はどうしてそんなにも長く隠れていたのか」(×2)

「どこで僕らは道を誤ったんだろう?」(×2)


 澄み渡る青空が目に浮かぶようですね……!


 歌詞紹介のために英語の和訳を40回も繰り返していると、それなりに洋楽の傾向というものも掴めてきましてね。歌詞の内容を解釈するため、まず確かめなければいけないのは使用されている単語がそのままの意味なのか、比喩表現なのかということです。


 この「青空」というのが、実際の空模様を指しているのか、それとも歌詞の主人公の心模様を指しているのか、あるいは両方なのかもしれませんね。サビの一節に「道を誤った」とありますが、青空が長きにわたって姿を見せなかったのは、主人公の心に何か遺恨が残っていたからしばらく心が晴れなかったということなのでしょうか。いずれにせよ「今日は天気の良い最高の一日だ」と言っているので、その何かを乗り越えることができたんでしょうね。


[Verse2(1:29~)]

「ねぇ、そこの可愛らしい顔のきみ」

「人間の世界へようこそ」

「お祝いだね、青空さんが上で待ってるよ」

「今日は僕たちが待ち望んでいた日だ」


[Chorus(1:45~)]

繰り返し


[Post-Chorus(1:55~)]

「ねぇ、そこの青空さん」(×2)

「貴方と一緒に居られて僕たちは嬉しいよ」(×2)

「周りを見てみて、貴方のおかげだ」(×2)

「誰もが貴方に笑い掛けているよ」(×2)


 「人間の世界へようこそ」って、誰に対して語り掛けられた言葉なのでしょうか。口ぶりからして、もともと人間ではない何かに向けたものでしょうけど、その相手は「可愛らしい顔」をしているという。まるでなぞなぞですね。でも、とにかく人々が晴れの日に感謝して笑顔で居られることを喜んでいる賛歌だということには変わりなさそうです。


[Verse2(2:36~)]

「ミスター・ブルー、貴方は良くやってくれた」

「でも間もなくが忍び足でやってくるんだ」

「彼の手はもう君の肩に掛かっているよ」

「心配はいらない、僕は君のことを」

「こんな風に記憶しておくから」


[Chorus(2:52~)]

繰り返し


[Post-Chorus(3:03~)]

繰り返し


 明るい昼の青空も、時が過ぎるにつれて日没を迎え、やがて夜の闇が覆い隠す。でも、素敵な1日のことは一生の思い出として刻まれる。そんな素敵なメッセージが込められていそうですね。Jeffreyがスイスのアルプス山脈で美しい青空を見た時も、そのような心境だったのでしょうかね。


 単純明快で特に裏のない内容だった故に、短めですがお許しください。今回もお付き合いくださり、ありがとうございました。次回は恒例、僕の好きな邦楽アーティスト3選をお届けいたしますので、お楽しみにー!



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はElectric Light Orchestra - Mr. Blue Skyから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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