Bastille - Good Grief
お待たせ致しました。ありがたいことに、先日遂に拙作の累計PV数が500を突破しました! 本短編集をご愛読いただいている読者の皆様、誠にありがとうございます!
第28回目を迎える本作ですが、今回紹介しますのは2010年にイギリス・ロンドンで結成されたオルタナティブ・ロックバンドで、その名もBastilleから『Good Grief』です!
Bastilleというバンド名は、ボーカリスト・Dan Smithがフランスの国家記念日・Bastille Dayと称される7月14日生まれであるということに由来しているらしいです。その他、Kyle Simmons (Key.), Will Farquarson (Ba.), Chris Wood (Dr.), そしてRag'n'Bone ManやTo Kill A Kingなどの楽曲も手掛けているプロデューサー・Mark Crewが幻の5人目として独特なBastilleの世界観を創出しています。
2013年にリリースされたデビュー・アルバム『Bad Blood』は、欧州を中心に世界中で反響を呼びました。韋駄天の如く本国イギリスのチャートでは初登場首位を掻っ攫い、米音楽専門チャンネルMTVによるグローバルパワープレイ・MTV PUSHアーティストとして堂々選出、特に同アルバム収録のシングル『Pompeii』は、アイルランドとイタリアのiTunesチャートで1位を獲得した他、翌年にはBrit Awardsにて新人賞を受賞するなど、その勢いはデビュー当時から凄まじいものでした……!
さて、改めまして、そんなBastilleから今回選ばせて頂いたのは、3年ぶりとなる2016年にリリースされた2ndアルバム『Wild World』から『Good Grief』です。直訳すれば「良い悲しみ」? 何を言ってるんだと思って調べてみたところ、これは驚きや呆れた時のネガティブな感情を表現する際の決まり文句のようですね(やれやれだぜ、的な)。──へぇー。僕は全く知りませんでした。早速ひとつ大きな発見ができました!
もっとも『Good Grief』という楽曲自体は僕のお気に入りのひとつです。『Badlands』や『Eraserhead』といった、独特なヨーロッパ映画に多大な影響を受けているDan Smithによる拘りのあるMVにも注目です。では、いつものようにテーマとなる音楽を掛けながら、歌詞をお手元にご用意して僕の和訳を楽しんでいただくと共に思考と感覚の両側面から、普段よりも2倍、音楽の世界を楽しんでいただけると幸いです。
[Intro(0:00~)]
「で、まず手始めにマニアックな皆は何をお求めかな」
「指の隙間からこっそり覗くんだ」(×2)
[Verse1(0:12~)]
「目を閉じて10秒数えようか」
「耳に入ったらそのまま反対側へ」
「通り過ぎていくんだ」
「最期の瞬間まで明るく燃えてる」
「今となっては君は写真に写らない」
「写らないんだ」
「指の隙間からこっそり覗くんだ」(×2)
「思うに君は遠くへ行ってしまったのだろう」
「それで君は口笛でも吹いているのかな」
「口笛が聞こえてくるよ」
「日の光のように透き通った」
「ああ、君のことを思い浮かべるよ」
「いとも容易くね」
明るく楽し気な曲調とは対照的に、歌詞の内容は何処か故人を悼むような、別れてしまった人を想うような気持ちが込められているような気がします。僕の個人的な意見では、歌詞の主人公の傍には既に亡くなってしまったものの、生前親しかった人の幽霊でも出たんだと思います。幽霊の姿を見て信じられないという気持ちの主人公は、恐怖から両手で顔を覆うけれども好奇心に突き動かされるように指の隙間から幽霊を覗き見る。──「うわぁ、僕はおかしくなってしまったのかな。やっぱり幽霊が見えるよ。」的な……?
現実を受け入れられない主人公は目を閉じて現実逃避します。幽霊の声は耳から通り過ぎるばかりで、主人公には伝わりません。だったら写真はどうだと、幽霊にカメラを向けても写らなかったんでしょうね。再び恐怖して指の隙間からこっそり幽霊を覗き見る主人公。考え直せば、そもそも君は亡くなってしまったから遠く(天国)へ行ってしまったはずなんだ。でも、何故か口笛が聞こえてくるような気がする。そして太陽のように透き通った透明な姿が目の前にあるから、次第に思い出せなくなってきたはずの君の生前の姿をいとも容易く思い浮かべることができるよ、といったところでしょうか。
僕の解釈が正しいかどうか、一切の責任を負うことはできませんが、もしそうなのだとしたら面白い歌詞ですよね。明るい曲調とマッチしたコメディ風な内容にもかかわらず、どこか悲し気で重苦しいテーマがしっかりとあって、そのギャップに感動がある。僕はこの曲がますます好きになってきました……!
[Pre-Chorus(1:00~)]
「君が居なくなったらこの世界には何が残されるのかい?」
「こんな世界に何が残ってるって言うんだ、なあ」
[Chorus(1:08~)]
「1分1時間が過ぎゆくにつれて」
「君をますます恋しく思うよ」
「何度つまずいて失敗したとしても」
「君が恋しくなるだけなんだ」
主人公は誰かとの別れを惜しんで、自身の生活に身が入っていない様子ですね。「君」の居ない世界になんて価値はないから、過ぎゆく時間も空虚なものに感じるし、どれだけ失敗して周囲から叱責を受けたりしても全く気にならないといった、主人公の心にぽっかりと穴が空いている感じが伝わってきます。
[Verse2(1:25~)]
「指の隙間からこっそり覗くんだ」(×2)
「不意打ちで君のお気に入りの曲を流せば」
「ああ、葬儀場でも踊り出しちゃうね」
「お葬式でも止められない」
「君はお気に入りの服で眠りに就くんだね」
「残された僕たちはそれが焼けていくのを見てるだけなんて」
「口惜しくて堪らないよ」
どうやら、主人公が恋しく想っている相手が既に亡くなっているという予想は、ここで確定してしまったようですね。お気に入りの服を着たまま、火葬場で遺体が焼かれていくのを黙って見ている他ないという主人公の残念そうな心情と、無理して空元気を出そうとしている健気な様子が緻密に描かれていると思います……。
サビは繰り返しになるので省略して終盤部分です。
[Bridge(2:13~)]
「もしパーティーアニマルになりたいなら、ジャングルを生き抜く術を身に着けるの」
「もう思い悩むのはこれっきりにして、着替えてきなさいな」
「もう勘弁してくれないかな」
「感情のコントロールがうまくいなかないんだ」
「そろそろ許してくれないかい」
「うまく言葉に出来ないけど」
「とても酔っ払ってるんだ、愚か者だと嘲っておくれ」
「僕が間違っていると証明してくれ」
「だれか床に突っ伏したままの僕を助け起こして」
「僕が間違っていると証明してほしいんだ」
後は既出のサビフレーズを繰り返すのみとなりますので、和訳は終了です。今回もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
いやあ、最後まで主人公は酒の力にも頼りながら、ぼろぼろの状態で亡くなった大切な人を想って立ち直れていない様子でしたね……。しかし、物悲しくも壮大なメロディーで世界中を席巻するBastilleの音楽の魅力を伝えるには最高の一曲だったのではないでしょうか。
さて、恒例の次回予告へと移って行きましょうか。とはいえ、次回は何も決めていなくてですね……。あ、そうだ。同じくUKロックバンドとなってしまいますが、Bastilleと共に21世紀を代表するあのバンドを紹介することに致しましょうか! ヒントですか? そうですねえ……。「北極」「猿」ですかね(もはや答え)。
†††
※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はBastille - Good Griefから引用しております。
※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。
※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。
※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。
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