Dawes - When My Time Comes

 細々と続けてきた本作も、読者様方の偉大なる貢献によって次第にPV数が増え、遂に第19作目(番外編含まず)を迎えることができました。皆様、平素よりご愛顧くださいまして、本当にありがとうございます! そんな本エッセイですが、閲覧数の増加に伴い段々と読者様の求める洋楽の傾向が掴めてきました。ずばり、皆様はRock ’n’ Rollに生きていると……!


 今までUK/USバンドを中心に多岐にわたるロック・ジャンルを取り扱ってきました。そこで今回は趣向を変えて、2009年に『North Hill』でデビューしたアメリカ・ロサンゼルス出身の4人組フォーク・ロックバンド──Dawesから『When My Time Comes』を紹介してみたいと思います。


 Dawesは、高校時代の同級生だったボーカル兼ギタリスト・Taylor Goldsmithと元メンバーBlake Millsによる前身バンド・Simon Dawesが、後者の脱退を機に改名されたものです。Taylorの実弟であるGriffin Goldsmithをボーカル兼ドラマーとして迎え入れ、ベーシスト・Wylie Gelberとキーボディスト・Lee Pardiniを加えた4人が現メンバーです。


 2009年、米・Rolling Stone誌に「本物のヴィンテージ」と言わしめる昔懐かしいサウンドを収録したデビュー・アルバム『North Hills』をリリースすると、今日までコンスタントに7枚のスタジオ・アルバム、2枚のEP、1枚のライブ・アルバムをリリースしているようです。特に2015年リリースの4thアルバム『All Your Favorite Bands』は、米フォーク・アルバムチャート1位、ロック・アルバムチャートで4位を獲得したこともある実力派。これまでに同国出身の有名ミュージシャンであるBob DylanやJohn Mayerのツアー・サポートを務めるなど、錚々そうそうたるベテラン音楽家からもその音楽性が認められています。


 1960~70年代のウェスト・コースト・ロックを彷彿とさせるクラシカルメロディーに天性の演奏力で老若男女のハートを鷲掴みにしてきた彼らは、昨年のFUJI ROCK FESTIVAL'22に出演していたことでも知られ、当然僕も見に行きました(見たいアーティストが被っていたので全部は見られませんでしたが)。今回紹介するDawesの大人気曲『When My Time Comes』をコーラスするGoldsmith兄弟の歌声は思わずうっとりしてしまうほど美しく、フォーク・ロックは好きだけどDawesは知らなかったという方は、聞いてみて損はありません。僕が保障します!


 それでは歌詞紹介に行きましょう。Goldsmith兄弟に酔いしれながら、歌詞の原文をお手元の端末等に表示して僕の和訳と独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです……!


「記憶に留めておくべき夢の瞬間があった」

「馬車馬の如く働いたというより、奴隷のような暮らしだった」

「それは気高く、あるいは勇敢な瞬間だと思っていた」

「人生で最も価値あるものだろうと」

「だから私は自分の知っている言葉を指でなぞるように叫んだんだ」

「そこに書かれていることが真実であるかのように」

「でも私の辿った全ての道と私が導き出した結論は」

「ナイフの下に真実を照らし出すだろう」

「そして今もなお教訓となっている1つのアドバイスは」

「何か新しいものを作り出す者は他の何かを壊しているだけだということ」

「私の時代が来たのなら」

「私の時代が来たのなら」


 1番の歌詞はこんな感じです。えーと、先に白状しておきますね。僕には歌詞の意味がさっぱり理解できませんでした。ごめんなさい!


 MVなどを見てみると、どうやら奴隷のように働かされている大人と少年が出てくるのですが、諦めた様子の大人とは対照的に、少年は冒頭にて、奴隷のように労働力を搾取している軍人風の男たちから逃げていたのですが、遭えなく捕まってしまいます。大人たちは、銃を持った男たちの前で働かされ、どうでも良いような、怒ったような表情をしながら働きます。おそらく、そんな惨めな自分たちを正当化するために「これも気高く勇敢な、一瞬の我慢なのだ」と言い聞かせているのかな?


 きっと長い歴史の中で行われてきた奴隷制に対する、ある種の風刺のような意味があると思うのですが、詳しいことはさっぱり。すみません、どなたか意味を知っているという方が居れば、ご教授願いたいです……。


 続いて2番へと移ります。


「だから手の届かないところに押しやったはずの望みをもう一度手に取ったんだ」

「全ての失敗を代償に成功することを望んだんだ」

「もし天国に行くことだけが私の命運だというなら」

「私は死を祈ればいいのか?」

「気付くのが早過ぎたようだな」

「廊下で眠りながら香水を呑んでいるよ」

「鏡に向かって話し、月に向かって吠える」

「ますます悪くなる一方だ」

「お前に足りない輝きで全世界を判断してもいい」

「奈落の底を見つめているつもりでも、それは後ろを向いているだけだ」

「私の時代が来たのなら」

「私の時代が来たのなら」


 同じくMVを見てみると、一度脱走に失敗した奴隷少年を、人生を悲観している様子の大人たちが結託して、その場から逃がしてくれるんですね。支離滅裂なことを考えて現実逃避していても現状は変わらない。「死ぬ勇気がないなら、何か行動を起こしてみたらいいじゃないか」的なニュアンスなのかなぁと、ざっくり思います。今回に関しては僕の翻訳が間違っている可能性が高いので、気になった方は是非とも歌詞の原文を自ら翻訳してみてください。そして、後でこっそり僕に意味を教えてください……。


 海外の方の評価を見てみると「奈落の底を見つめているつもりでも、それは後ろを向いているだけだ」という一文に感銘を受けたという人が多いようです。確かに、自分はどん底に居る人間だと思って俯いて生きているつもりが、前を向いて歩きだすだけで後はそこから這い上がるだけだから、何も気に病むことはないというポジティブな意味が含まれていそうです。そんな素敵な歌詞であるのに、まともな紹介ができず大変申し訳ございませんでした……。


 今回は以上です。次回は予告通り、記念すべき第20作目として既に題材を決めております。お楽しみにしていてくださいませ!



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はDawes - When My Time Comesから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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