bbno$ - piccolo

 前回、そろそろヒップホップ・シンガーを取り上げようという話をしたと思いますが、Wiz Khalifaは何度か名前を挙げさせていただいている上、有名過ぎるが故にご存じの方も多いかと考えたため、今回はカナダ・バンクーバー出身のヒップホッパー・bbno$から『piccolo』を紹介したいと思います!


 「うん、誰だって?」と思われた皆さん、お気持ちお察しします。おそらく地球上にひとりとして初見で彼のアーティスト名を発音できた人は居ないでしょう。どうやら、彼の名前は"baby no money"と発音するようです。分かる訳ありませんよね……。


 2019年にアメリカのレコードプロデューサー兼ソングライターであるY2KことAri David Staraceとリリースした『Lalala』は、"Did I really just forget that melody?"というキャッチフレーズによりTikTok上でバイラル現象となり、音楽ストリーミングサービス・Spotifyで8億回を超える再生数を叩き出して話題に。マネージャーサービスとアーティストの育成を手がける企業であるmtheoryは、2021年からbbno$のパートナーとして彼のマーケティングやツアーの開催を支援しており、bbno$は若者を中心として着実に知名度を獲得してきました。彼のラップは陽気で子気味良いベースのリズムとちょっぴりブラックなフックの効いた歌詞が特徴的で、一度聴くと何故か頭を離れません。


 bbno$ことAlexander Leon Gumuchianは、元々プロの水泳選手を目指していたようで、音楽業界に参入したきっかけは背中の怪我で夢を断念せざるを得なかったからだとか。そんな彼はTikTokの他にも、Tinder、Instagram、Craigslistといった様々なSNSやウェブサイトを駆使してマーケティングを行っている、まさに現代型のアーティストです。そんなbbno$の音楽性について、本人は "oxymoronic rap"(撞着語法によるラップ)により"ignorant but melodic"(無知だがメロディック)であると表現しています。要するに、矛盾する言葉を意図的に結びつけることで聞き手に違和感を与えることで強烈な印象を残しているということですね。


 そんなbbno$の楽曲は、日本のカルチャーシーンに影響を受けたものや日本語を取り入れたものも多く、例えば2021年にインドネシア・ジャカルタ出身の若手ラッパー・Rich Brianとコラボした『edamame』という楽曲に"I’ma pop you like a pea, yeah, edamame"という一節があり「さやから飛び出す枝豆のようにぽんぽんと皆を盛り上げるよ!」というお茶目な意味が込められているようです。


 今回紹介する『piccolo』に至っては、そう、あのピッコロです。日本人の読者様にとってはお馴染み、ドラゴンボール・シリーズに登場するピッコロ大魔王のことなんですね。ちなみに、これから歌詞紹介に入っていくのですが、あくまでもネタとして見ることをおすすめします。もしbbno$が至って真剣に当該楽曲を制作したというのなら大変申し訳ないのですが、下ネタ満載でドラゴンボールファンにはどう受け止められるのか僕にも想像できないので、以下の閲覧は自己責任と言うことでお願いします……!


 流石にセルフレイティングはしたくないので、下ネタ部分にはがっつり伏せ字を入れていきますが、その内容はご想像にお任せします。いつもならテーマとなる曲をループ再生してーなどとお決まりの台詞を言いたいところなんですが、歌詞の原文を見るのも楽曲を再生するのも今回ばかりは読者様の自由意志にお任せします(笑)。とはいえ、愉快でポップなメロディーに軽快なラップが続くので多くの人にとっては楽しく聴くことができる音楽だと思います!


「女の子が5人もいれば5つの発見がある、ぞくぞくするね」

「チーフキーフにでもなったみたいだ、チキチキバンバン」

「遊びじゃないよ、飛行機といえばファーストクラスだ」

「だって"デカいチ○○.com"が俺のドメインネームだから」

「この長さには5ドルの価値がある」

「良い匂いだろ、俺のコロンが」

「Gualaは一生ものさ」

「サギのように自由だ」

「日雇い労働者みたいな」

「ミドルネームはレオンだよ」

「好きな時に本気出そう、理由は要らないよな」

「お膝の上に気まぐれなリトルハニーを乗せて」

「ケツを叩けばまるで拍手喝采だ」

「俺は何もしてない。金を作って、積み重ねるだけ」

「息抜きに俺のショーへいらっしゃい、ほら拍手」


 こんなところですね。先述の通りbbno$の本名Alexander Leon Gumuchianは確かにミドルネームがレオンなので、彼は自分のことをネタにして歌っている訳ですね。チキチキバンバンは1960年代のミュージカル映画、コロンは香水、Gualaはラッパー御用達洋服ブランドをそれぞれ意味していると思われます。チーフキーフはアメリカ出身のラッパーのことです。歌詞自体に特別な意味が隠されているのかは僕には分かりかねますが、続いてお待ちかねのサビに入ります。


「小っちゃな頃から」

「俺はいつでもママに助けを求めることができる」

「問答無用だ。恋人のヒモになるんだ」

「彼女はナッツをつまみ食いするのが好きだから、俺はピスタチオってとこか」

「ドラゴンボールZチ○○、俺をピッコロ大魔王だと思ってしゃぶってくれ」


 ──うーん。これ以上は何処からかお叱りを受けてしまいそうなので、この辺で終わりにしておきましょう。もし続きが気になると思った方は実際に聞いてみることをおすすめします! 2分間の楽曲なので隙間時間にサクッと聞けますので、キャッチーなメロディーに意外とはまってしまうかも……?


 実は、記念すべき第20作目で紹介するアーティストはとある伝説的ロックバンドにしようと既に決めているので、次々回はリクエストを受け付けておりませんが、次回分やそれ以降はリクエストなどいつでも歓迎しております。多分ヒップホッパーを紹介しようとすると今回と似たような感じになると思いますが、それでも良いというのであればジャンルは問いませんので、よろしくお願いします!



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はbbno$ - piccoloから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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