Ellie Goulding - Love Me Like You Do

 前回の予告通り、今回はイギリスの女性シンガーソングライター・Ellie Gouldingから『Love Me Like You Do』です!


 英国放送協会BBCが年始に有望な新人アーティストを発表することで知られる、"Sound of"シリーズの2010年版にて堂々1位に選出され、さらに英国最大の音楽賞として名高い、ブリット・アワードにおけるCritics’ Choice Award(現・The Rising Star Award)をも受賞した功績を有する最高の女性アーティストのひとりであるEllieことElena Jane Gouldingですが、上記2つの賞を同時受賞したことがあるのは今までに彼女と、同国を代表する歌手・Adeleのみであると言うのですから、その素晴らしさが分かります……!


 また、Ellieはストイックなランナーとしても知られていて、毎日凡そ10kmもの距離を走ることを目標にしているとか。その甲斐あってか、アメリカ・ワシントンで2013年4月に行われたNike Women Half Marathonでは、1時間41分35秒をマークしたようです。僕もコロナ禍の運動不足がきっかけでランニングを熱心に取り組む習慣が身に付きましたが、10kmも走ったら翌日は筋肉痛になって走る気力が削がれてしまいます。それを毎日だなんて──素直に尊敬いたします……。


 聴く者全てを魅了するような透き通ったEllie Gouldingの美声は、そんな彼女の弛まぬ努力の結果として得られる肺活量から生まれているのかもしれませんね。


 そして、今回紹介いたします『Love Me Like You Do』は2015年、全世界で超驚異的観客動員数と興行収入を記録した、イギリスの官能小説が原作の映画『Fifty Shades of Grey』のサウンドトラックに収録され、音楽プレイヤーサービスiTunesでは70の国と地域で首位を総嘗めにし、全米チャートにおいては3位到達、全英で4週連続1位を達成するという人気ぶりでした!


 (──ちなみに、以前ご紹介したThe Weeknd(第9回参照)の『Earned It』も、同じサウンドトラックからアメリカで最高位3位を記録するメガヒットを果たしました。)

 

 そんなEllie Gouldingの音楽性は多岐にわたる音楽ジャンルから影響を受けたものであり、アメリカのフォークシンガー・Lissieやポップシンガー・Katy Perryなどとも親しい関係にある彼女は、友人たちの楽曲から多くのインスピレーションを受けつつ、R&B、エレクトロ、ヘビーメタル、クラシックといった他ジャンルの音楽と調和させたことによる、唯一無二のメロディと気迫のこもったボーカルで以て、貴方を魅了すること間違いなしです……!


 それでは、今回もそろそろ歌詞の和訳紹介に移っていきましょうかね。『Love Me Like You Do』をループ再生しながら、もしくはお手元のデバイスで歌詞の原文を参照しながら、僕の独自の解釈と共に翻訳を楽しんでくださいませ──。


「貴方は光であり闇でもある」

「貴方は私の血の色そのもの」

「癒しと同時に痛みをも与えてくれる」

「私が触れたいと思うのは貴方だけなの」

「貴方に対してここまで本気になるなんて、思いもしなかった」


 ──ほー。こってこてのラブソングって感じがしますね。先程も言及した通り、官能小説が原作となっている映画の挿入歌として名を馳せた『Love Me Like You Do』は全体的にエロティックというか、男女の情欲に塗れた愛憎表現が含まれているものということが前提にありそうです。


「貴方は私にとって恐怖でもある、けれど構わない」

「こんなに気持ちが昂るのは初めてだから」

「暗闇の中でも迷わず私に着いてきて」

「宇宙の果てまで連れて行くから」

「貴方が生命を吹き込んでくれた世界を見ることができるから」


 愛する相手に恐怖を抱くのは、いつか訪れる別れを恐れているのでしょうか。でも、今この瞬間に感じている愛を誤魔化すことはできないから、今日も貴方の手を取る。「生命を吹き込んでくれた世界」というのは、そんな愛する相手に出会ってから、見違えるように変化した主人公の心境といったところでしょうか。


 敢えて少し飛ばして、先にサビ以外のフレーズを見ていきます。


「ふと現れては霧散する」

「楽園の端っこで」

「貴方の肌の細胞ひとつずつが、私が探していた聖杯なの」

「貴方の存在だけが私の心に火を灯す」

「ペースは貴方に決めてほしいの」

「今の私は思考をうまく制御できないから」

「頭がこんがらがって、直視できない」

「貴方は何を躊躇っているの?」


 今までの切なく儚い印象が強く残る歌詞の内容を見れば一目瞭然ですが、主人公の愛はどうやら長続きすることはなさそうですね。どこか気が急いているというか、愛すべき相手に対して別れの恐怖や闇を感じているということは、許されざる禁断の愛故なのか、どちらかに死の別れが迫っているのか──僕は先述の映画を見たことがないのでその真相は分かりませんが、恐らく登場人物の2人からは、刹那的な愛を貪るように求めている様子が描かれているように感じられます。


 そしてダイナミックなサビパートに移行していきます。


「貴方なりのやり方で、私を愛して」(×2)

「貴方なりのやり方で、私に触れて」

「一体何を躊躇っているの?」


 ──互いに愛し合っている男女の様子が描写されているはずなのに、幻想的なメロディーと悲愴感漂う歌声からは、悲し気な様子ばかりが伝わってきます……。ラブソングなのに、幸せな気分を演出するどころか、ハッピーエンドを一切想像できないような重苦しくも夢幻的で、それが逆に美しくも感じることができる壮大な音楽に魂が揺さぶられるようです。この楽曲に何か感じ取るものがあったという方は、是非上述の映像作品『Fifty Shades of Grey』や原作小説を手に入れてみるのも良いかもしれません。


 以降は既出のフレーズを繰り返すため、歌詞紹介はこれで以上となります。毎度お付き合いくださいまして、誠にありがとうございます!


 今回は特に余談が思い浮かばないので、次回予告に入ります。しかしながら、次回に向けて何を紹介しようかなーという構想は特にありません。たまには王道のポップソングを紹介してみようかと思う反面、大好きなロックミュージックを紹介しようかとも考えており、悩みまくっております……。


 何かリクエストがある方がいらっしゃれば、是非にお願い致します。特になければ、ヒントとして今まで頻繁に紹介してきた英米出身のアーティストは除外して、フランスやオーストラリア辺りからピックアップしてこようかなーとだけ言い残しておきます。



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はEllie Goulding - Love Me Like You Doから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る