第3話 劇団クローバーみつば感 みこと佐織
慈代にしてみると練習が終わり、恋人とはいえ他人の家に行くよりも、自分の家に来てもらった方が何かと自由も効くし、気持ち楽という思いがあった。また、何よりも渋谷駅を利用する彼女たちにとって恵人の住む祖師ヶ谷大蔵より、自分の住んでいる下北沢の方が近いというのもあった。
その日は休日で演劇部の練習はなかったが、晴美と
この四人の三年生は歴代演劇部の部員の中でもかなり強烈なキャラクターだ。まず、
晴美は大学二年生のときミスキャンパスに選ばれた。恵人が大学に入った年、同じ演劇部からミスキャンパスが選ばれたということは結構な衝撃だった。
そして、
しかし慣れというものは怖いもので、ずっと演劇部で一緒にいると、この二人が普通の女子と変わらないように思えてくる。演劇部以外の友達などから「浅香晴美さんってどんな人?」とか「
劇団の稽古場は下北沢駅の近くなので慈代のマンションから近い。
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劇団 クローバーみつば感
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「みつばのクローバーなんだ……」
と恵人が呟いたところへ後ろから晴美がやって来た。
「そう『みつばのクローバー』なの『よつばのクローバー』はみんな探すでしょう。私たちはどこにでもある『みつばのクローバー』……努力して栄光をつかみ取るのよ」
「でも聞いたことあります『クローバーみつば感』って」
「わたしたちがいるから?」
「いや、演劇部の中で聞いたというより、たぶんテレビとかで聞いたことがあったんじゃないかと思います」
「そう、まあ、有名な俳優さんや子役さんなんかも結構いるからね」
「へえ、そうなんですね」
「そうなんですよ。ちょっとこっちで待ってて」
と稽古場の奥の方に案内された。
稽古の途中なのか、小学生ぐらいの子役の女の子が、二人で仲良く話しながら学校の宿題をやっていた。晴美と慈代、恵人に気が付くと、二人は顔を上げ、
「おはようございます」
と笑顔で挨拶した。この世界では時間を問わず、いつでも挨拶は「おはようございます」だ。
「あ!」
と思わず声が出てしまった。晴美が「?」という顔をして、
「ああ、見たことある子たちでしょう。ドラマとかにも出てる子たちだから。こちらが
「へえ、仲いいんですね」
「うん、二人はすごく仲いいよ。なんかドラマの役の通りとかって思ってない?」
「いや、なんかドラマのイメージが強くて」
「そうよね。演技派子役たちなのよ、二人とも……なんか佐織ちゃんには、ちょっと、いやなイメージ持ってたんじゃない? すごくいい子よ。でも、そうゆう役を演じているの。そう思うと彼女の演技上手でしょ。」
恵人は改めて本当にすごい子たちだと思った。
「こういう役を演じてるとね。知らない人とか、学校の友達からもそう思われたりすることがあるのよ。でもね、佐織ちゃんがその役に徹しているから、主役のみこちゃんは輝いていられるのよ。みこちゃんの観ている人の気持ちをぐっと惹きつける演技もすごいけど……佐織ちゃんも女優でしょ」
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みこちゃんと佐織ちゃん登場の二作品
「みこちゃんの花束」「いいわけ」
KAC20233 「ぐちゃぐちゃ」
みこちゃんの花束
https://kakuyomu.jp/works/16817330654092269954
KAC20237 「いいわけ」
いいわけ
https://kakuyomu.jp/works/16817330654482503128
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KAC20231 「本屋」
古本屋あかり堂
https://kakuyomu.jp/works/16817330653888867702
KAC20232 「ぬいぐるみ」
ぬいぐるみボン
https://kakuyomu.jp/works/16817330653959425641
KAC20233 「ぐちゃぐちゃ」
みこちゃんの花束
https://kakuyomu.jp/works/16817330654092269954
KAC20234 「深夜の散歩で起きた出来事」
深夜の散歩で出会った
https://kakuyomu.jp/works/16817330654180599782
KAC20235 「筋肉」
プリンシパル ~ 美しい筋肉
https://kakuyomu.jp/works/16817330654260935400
KAC20236 「アンラッキー7」
アンラッキー7 そこに電話をかけてはいけなかった
https://kakuyomu.jp/works/16817330654398706719
KAC20237 「いいわけ」
いいわけ
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