2 東洋絵画の系譜


 この連載では、主に、明治時代以前の日本の絵画を鑑賞するための話をするつもりです。


 例えば北斎や広重などの浮世絵版画は、19世紀後半、欧州に紹介されてジャポニスムの流行を惹き起こし、印象派などに大きな影響を与えました。


 それはそれで誇らしいことなのですが、日本の絵画は日本列島の中だけで自然発生して純粋培養で発展したのではなく、中国からの不断の影響の下に発展してきたことは、知っておいてよいと思います。

 もちろん、それを以て、日本絵画を「中国絵画の亜流」などと低く見る必要はありません。(日本の工業技術を「西洋科学の盗用」だとか卑下する必要のないように)

 海外の偉大な芸術を受容し、窯変させ、新たな境地を花開いたことは、世界に誇ってよいのだと思います。


 それに、中国の美術もじつは、西洋や周囲の美術の影響を受けています。

 また、中国を経由せず、西洋から直接日本に入ってきたものもあります。

 世界の芸術は、意外と大昔から互いに交流し、影響を与えあっているのです。

 そんな話も、ときどき紹介できればと思います。


 前置きが長くなりましたが……、次回から、いよいよ具体的なお話に入ります。



 * * *


 図版をつけたり、サイトを載せれば分かりやすいのですが、著作権とかあるかもしれないので、ここではタイトルだけ示します。この名で画像検索すれば、すぐ見つかると思います。


(参考)歌川広重筆『名所江戸百景図』

    クロード・モネ画『太鼓橋』

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