第16話

 大爆発で通路が塞がれた。

 吹き飛ばされた俺にホノカが駆け寄る。


「カゲオ!」

「だい、じょうぶだ。疲れただけだ」


 疲れても苦痛耐性がある。

 疲れを感じても苦しくはない。


「ミミックハウスで休もうよ」

「まだだ、もう一発使って通路をさらに塞ぐ」


 ドッコーン!

 爆発で更に通路が塞がった。


「さて、休もうか」

「私が運んで体を拭くね」

「頼む、それと、サンダーミミックはミミックハウスの屋根上で待機させてほしい」

「うん。分かったよ」


 俺は体を洗い、食事を食べてホノカと一緒に寝た。




 ◇




 ゴンゴンゴンゴンゴン!


 物音で目が覚めた。


「スケルトン、か」

「そうだね、囲まれてるよ」


 外を見るとスケルトンの群れに包囲されていた。

 ミミックハウスを叩かれている。

 屋根の上に乗ったサンダーミミックが何度も雷撃を飛ばすが焼け石に水だ。

 敵の数が多すぎるのだ。


「さてっと、ホノカも屋根の上から戦ってくれ」


 俺は窓から飛び降りてスケルトンを倒す。


「エナジードレイン!」


 ホノカの攻撃でスケルトンが倒れた。


 バチン!バチン!バチン!


 サンダーミミックも雷攻撃を続ける。


 刀を1度振るだけで複数のスケルトンが倒れる。

 行ける!勝てる!


 俺は地道にスケルトンを減らしていった。



「ラストおお!!」


 最後のスケルトンを倒し、回収するが、通路の先から魔物の気配がした。


 スライム・アクアトード・ポイズンスネーク・ポイズンスパイダー・スケルトンが群れで襲い掛かって来た。


 さらに後ろを見ると


 ボススライム×15体、ボスポイズンスネーク×4体が後ろに控える。


「アクアトードとポイズンスパイダーを優先で攻撃する!援護してくれ!」

「分かったよ!」


 水魔法と蜘蛛糸が厄介だ。


 近づいてきたスライムを斬り倒し、アクアトードを目指す。

 だが、アクアトードは味方を巻き込むことを気にせず俺を水魔法で攻撃してくる。

 更にポイズンスパイダーも他の魔物もろとも糸をばら撒いてくる。


 糸と水魔法がうざすぎる。


「ぶち殺す!」


 俺はなりふり構わず刀で斬りかかった。


「爆炎石を全部使う!衝撃に備えろ!」


 俺は残り3つあった爆炎石をすべて投げ入れた。


 チュドドドーン!


 もう崩落とかそういう事を気にする余裕はない。

 ヤルかヤラれるかの戦いなのだ。


 岩が上から降ってきて魔物に当たった。

 魔物が吹き飛んだ。


「おりゃああ!死ねえええええ!」


 吹き飛んだ魔物に追い打ちをかけるように刀で止めを刺していく。

 そして倒れた魔物をすべてストレージに収め、入らない魔物に刀を突きさし止めを刺す。

 根絶やしにしてやる!


 俺は地面に寝転がって呼吸を整えた。

 ホノカが走って来る。


「はあ、はあ、ホノカ、無事か?」

「私は大丈夫だけど、カゲオは大丈夫?」


 ホノカが俺に張り付いた糸を引きはがし、ほこりを払う。


「もう、全部倒したかな?」

「分からない、見てくるか」


 瓦礫が退けられ魔物が侵入された道を通り、大部屋を覗く。


「アクアトード・ポイズンスパイダー・スケルトンのデカい奴らしかいない。全部ボスだ」


 ホノカが俺の後ろから顔を覗かせる。


「……50体以上いるよね?」

「いったん戻ろう」


 ボススライムはタコみたいに小さい隙間に入って来る事が出来た、だから攻めてきた。

 ボスポイズンスネークは細長い体のおかげで入ってこれたか。


 ホノカがミミックハウスを消してまた出現させた。

 新しくきれいになった家に戻った。


「さて、一旦体力を回復させようか」

「そうだね」


 ピンポーン!


「え?なに?怖いよ!」


 ホノカが俺の服を掴んだ。


「魔物、じゃないよな?」


 外を覗き込むと黒服がいた。


 ガチャ!


「何の御用でしょうか?後どうやってここに来た?」

「俺は斥候が得意だ」

「そっか、助けに来てくれたのか?」

「……キューブの予備を起動させてくれ」


「キューブは起動した。物資で貰った爆炎石をもっとくれ」

「それは出来ない」

「あると楽だ」

「出来ない」


「一旦出たい」

「自力で何とかしてくれ」




 助けてくれるわけじゃないのか?

 外に出てキューブを起動させた。


カナタ『無事でしたか!心配したんですよ!!』

『無事だったか!』

『あの後どうなった?』

『あの爆炎石はいつ用意していたんだ?』


「爆炎石はここでキャンプする前の物資補給で貰った。でもなぜか5つしかもらえなかった、で、今までの経緯は……」


 俺は配信で今までの経緯を説明した。




 説明が終わると黒服が無言で立ち去ろうとする。


「ちょ!ちょちょちょ!待った!ちょっと待ったあああ!俺閉じ込められてるんだけど!ボス部屋に閉じ込められてるから助けて欲しい!」

「大丈夫だ、お前なら大丈夫だ、お前ならやれる!」


 黒服は力強く俺に親指を突き立てた。

 黒服の体が半透明になり、そして消えていく。

 

「あ、ちょ!逃げ!……ええええええ?」

 

『カゲオ、あきらめろ、試練、そう、英雄の試練なんだ』

『ステータスはよ!』

『ステータスを見せて』

『ステータス』




 カゲオ

 レベル:18→25【アップ!】

 ジョブ :ゾンビ

 スキル『ストレージ』『生活魔法』『鉄壁』『スタミナセーブ』『治癒力アップ』『全耐性』『オートヒーリング』『サーバント』




『おお!レベルが戻った!』

『ホノカタンのレベルは?』


「23になっている。大分強くなったな」

「えへへへへへ」


『ボス部屋を見せてくれ』


「マジで驚くぞ」


 俺はキューブでボス部屋を映し出した。


『うわああああああああああ!こわ!怖すぎる』

『一瞬縮尺が分からなくなったわ』

『マジでか、終わったな』

『いや、カゲオなら行けるぜ、ゴー!カゲオ!』

『カゲオ!Go Toヘル!』


「一旦帰って休む。疲れた」


 俺とホノカはミミックハウスに帰って休憩した。

 ホノカと一緒に風呂に入って、ホノカと一緒に寝た。




 ◇




 浮遊感を感じる。


「なん、だ!」

「お、落ちてる!落ちてるよ!」


「うわあああああああ!」

「わわわわ!」


 ミミックハウスごと、俺達は落下した。

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